居住サポート住宅制度とは?生活保護受給者が知っておきたい2025年新制度をわかりやすく解説
公開日: 2026年4月 情報取得日: 2026年4月14日 一次ソース確認: 国土交通省・政府広報オンライン
生活保護を受けながら住まいを探している方にとって、賃貸住宅への入居を断られるという経験は珍しいことではありません。単身高齢者や障害のある方が「保証人がいない」「孤独死が心配」と断られ続ける実態は、長年にわたる社会問題でした。
令和7年(2025年)10月1日に施行された改正住宅セーフティネット法では、この問題を解決するための新制度「居住サポート住宅」が創設されました。入居後の見守りや生活支援が一体になった、従来制度を大きく超える仕組みです。
本記事では、生活保護受給者の方が「自分にとって何が変わるのか」を中心に、居住サポート住宅制度をわかりやすく解説します。
本記事でわかること
居住サポート住宅制度が生まれた背景
高齢単身世帯の急増と「入居拒否」問題
日本では高齢化と単身化が急速に進んでいます。住宅・土地統計調査によれば全国の空き家は約900万戸、そのうち賃貸用は約443万戸あり、空室は大量に存在するにもかかわらず、入居を希望する方が断られるという矛盾した状況が続いていました。
大家さんが入居を断る主な理由は「孤独死が怖い」「家賃滞納が心配」「死亡後の残置物処理が大変」という3つです。これらの不安に制度として答えるのが、今回の法改正の核心です。
旧セーフティネット住宅の限界
2017年からスタートした「セーフティネット住宅」制度は、大家が都道府県に物件を登録し、住宅確保要配慮者に情報提供する仕組みでした。従来の「セーフティネット住宅」は要配慮者の住まいの確保を主眼に置いていましたが、入居後の支援には踏み込んでいませんでした。
「入居できても、入居後に孤立する」という課題が浮き彫りになり、住宅と福祉を一体で支える新制度が求められていたのです。
居住サポート住宅制度とは何か
居住サポート住宅とは、居住支援法人等(社会福祉法人・NPO法人・管理会社なども含む)が大家と連携し、安否確認・見守り・適切な福祉サービスへのつなぎを行う賃貸住宅として、市区町村から認定を受けた住宅のことです。
国土交通省の公式説明では、居住サポート住宅とは「居住支援法人等が大家と連携し、[1]日常の安否確認、[2]訪問等による見守り、[3]生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎを行う住宅」と定義されています(出典:国土交通省「住宅セーフティネット制度」公式ページ)。
セーフティネット住宅との違い
| 比較項目 | セーフティネット住宅(旧) | 居住サポート住宅(新) |
|---|---|---|
| 目的 | 入居できる住宅の確保 | 入居後の生活支援まで一体化 |
| 見守り・安否確認 | 規定なし | 必須(居住支援法人等が実施) |
| 福祉サービス連携 | 任意 | 要件(つなぎ機能が必要) |
| 代理納付 | 任意 | 原則化(生活保護受給者の場合) |
| 認定家賃債務保証 | なし | 対象(認定保証業者が原則引受け) |
| 認定主体 | 都道府県・市区町村(登録) | 市区町村長(認定) |
認定の仕組みと基準
居住サポート住宅として認定されるには、物件と支援体制の両方で一定の基準を満たす必要があります。
物件の面積基準(原則)
- 新築・大規模改修物件:25㎡以上
- 既存物件:18㎡以上
- 共用部を活用する場合:13㎡以上でも認定対象
支援体制の要件(3点セット)
- 安否確認(日常的なICT活用や定期的な連絡・訪問)
- 見守り(月1回以上の訪問等による見守り)
- 適切な福祉サービスへのつなぎ(地域の介護・医療・生活保護窓口との連携)
生活保護受給者にとって何が変わるのか
① 入居後の「孤立」を防ぐ見守り体制
従来の生活保護受給者の住まい探しでは、「入居できる物件を見つける」こと自体がゴールになりがちでした。居住サポート住宅では、入居後も居住支援法人等による見守りが継続されます。
具体的には、定期的な安否確認の連絡・訪問、体調悪化時の医療機関への橋渡し、介護保険サービスの導入支援などが受けられます。これにより、孤独死のリスクが減るだけでなく、受給者本人も「いざというときに誰かに気づいてもらえる」安心感を持てるようになります。
② 代理納付が「原則化」される
生活保護の住宅扶助(家賃相当分)は、従来は受給者本人に支給されていました。しかし家賃を滞納してしまうケースもあり、大家さんの不安の一因になっていました。
居住サポート住宅に生活保護受給者が入居する場合は、自治体(生活保護の実施機関)から大家さんに直接家賃が振り込まれる「代理納付」が原則となります。大家さんは安定した家賃収入を見込めるようになり、家賃滞納リスクが大幅に低減します。
出典:政府広報オンライン「改正住宅セーフティネット法がスタート」(2025年11月)
重要: 代理納付の適用には福祉事務所との手続きが必要です。詳しくは担当ケースワーカーにご確認ください。
③ 認定家賃債務保証業者が使えるようになりました
2025年10月の制度施行とあわせて、住宅確保要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する「認定家賃債務保証業者制度」がスタートしました。国土交通省の公式一覧によると、2026年2月28日時点で9者が認定済みです(認定番号第1号:一般財団法人高齢者住宅財団 ほか)。居住サポート住宅の入居者については、認定家賃債務保証業者が家賃債務保証を原則として引受けます。
保証人を用意できない方でも、認定保証業者を通じて保証を受けられる道が開かれることで、「保証人がいないから入居できない」という壁が低くなります。また、緊急連絡先についても親族などの個人に限定せず、法人でも可とされています。
居住サポート住宅を探す方法
居住サポート住宅情報提供システムを活用する
居住サポート住宅は、国土交通省の「居住サポート住宅情報提供システム」(https://support-jutaku.mlit.go.jp/)で検索できます。住まいを探したいエリアや条件を入力することで、認定を受けた住宅を一覧で確認できます。
※従来の「セーフティネット登録住宅」を検索したい場合は、別システム「セーフティネット住宅情報提供システム」(https://www.safetynet-jutaku.jp/)をご利用ください。居住サポート住宅と旧セーフティネット住宅は検索システムが異なります。
福祉事務所・居住支援法人等に相談する
居住サポート住宅の利用を検討している場合、まずは担当の福祉事務所(ケースワーカー)に相談することを強くおすすめします。
また、都道府県が指定する「居住支援法人」に直接相談することも可能です(本シリーズ記事⑤「居住支援法人とは」で詳しく解説予定)。
注意点と現状の課題
居住サポート住宅制度は2025年10月に施行されたばかりの新制度です。利用を検討する際には、以下の点に注意してください。
供給戸数はまだ少ない 国は居住サポート住宅の供給戸数について、施行後10年間で10万戸を目標としています。施行直後の現時点では、認定住宅が整っていない地域も多い状況です。
自治体によって対応に差がある 認定は市区町村が行うため、積極的に取り組んでいる自治体とそうでない自治体で状況が異なります。地域によっては対応できる居住支援法人等が少ない場合もあります。
「認定=即入居可」ではない 居住サポート住宅として認定された物件であっても、空室状況や入居審査は通常の賃貸借契約と同様に存在します。「認定住宅なら必ず入居できる」わけではありません。
本記事の情報は2026年4月時点のものです。制度の詳細・最新情報は国土交通省(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/)および各自治体の公式サイトでご確認ください。
まとめ
居住サポート住宅制度は、生活保護受給者を含む住宅確保要配慮者が「住まいを確保するだけでなく、入居後も安心して暮らせる」環境を作るために生まれた2025年の新制度です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 何が変わった | 入居後の見守り・代理納付・認定家賃保証が一体化 |
| 誰が使える | 生活保護受給者・高齢単身者・障害者等 |
| どこに相談 | 福祉事務所のケースワーカー・居住支援法人等 |
| 注意点 | まだ供給は限定的・地域差あり |
住宅扶助の仕組みや代理納付の詳細については、本シリーズの各記事で解説しています。担当ケースワーカーと相談しながら、ご自身に合った住まい探しを進めてください。
よくある質問
Q1. 居住サポート住宅はセーフティネット住宅と何が違うのですか?
A. 居住支援法人等による見守り・安否確認・福祉サービスへのつなぎが必須要件となっている点が最大の違いです。従来のセーフティネット住宅が「入居できる住宅の確保」を目的としていたのに対し、居住サポート住宅は入居後の生活支援まで一体で行われます。また、生活保護受給者に対する代理納付の原則化と、認定家賃債務保証業者の利用も居住サポート住宅固有の特例です。
Q2. 生活保護受給者は居住サポート住宅を優先的に使えますか?
A. 優先利用という制度上の規定はありませんが、生活保護受給者が入居する場合は自治体から大家さんに直接家賃が振り込まれる「代理納付」が原則化されています。また認定家賃債務保証業者の利用もできるため、入居しやすい環境が整えられています。具体的な手続きはケースワーカーにご相談ください。
Q3. 代理納付の手続きはどのように行うのですか?
A. 担当の福祉事務所(生活保護の実施機関)に申し出ることで手続きが始まります。自治体(福祉事務所)から家主・管理会社に通知が行われ、住宅扶助費(家賃相当分)が直接支払われる仕組みです。居住サポート住宅では代理納付が原則化されています。詳しくは担当ケースワーカーにご確認ください。
Q4. 居住サポート住宅の認定基準(面積等)を教えてください。
A. 原則として床面積25㎡以上が基準ですが、既存物件は18㎡以上、共用部を活用する場合は13㎡以上でも認定対象となります。また、①日常の安否確認、②訪問等による見守り、③生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎ、という支援体制を整えることが認定の必須要件です。認定は市区町村長(福祉事務所設置)が行います。
Q5. 自分の住む地域に居住サポート住宅はありますか?
A. 国土交通省の「居住サポート住宅情報提供システム」(https://support-jutaku.mlit.go.jp/)でエリア検索できます。2025年10月施行の新制度のため、まだ認定物件が少ない地域もあります。地域の福祉事務所や居住支援法人等に相談することも有効な方法です。
出典: ・国土交通省「住宅セーフティネット制度」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000055.html(情報取得日: 2026年4月14日) ・政府広報オンライン「改正住宅セーフティネット法がスタート」https://www.gov-online.go.jp/article/202511/entry-9947.html(2025年11月) ・国土交通省「認定家賃債務保証業者一覧」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr7_000064.html(令和8年2月28日時点 9者認定) ・国土交通省「居住サポート住宅情報提供システム」https://support-jutaku.mlit.go.jp/
