「生活保護を申請したいけれど、どこに行けばいいのか、誰が対応してくれるのかがわからない」という不安を抱えている方は多くいらっしゃいます。生活保護の申請窓口は市役所や区役所そのものではなく、その内部に置かれている「福祉事務所」という専門機関が担当しています。
この記事では、社会福祉法第14条に基づき全国に1,240箇所(令和7年4月時点・厚生労働省「令和7年版厚生労働白書」資料編)設置されている福祉事務所の役割・組織体制・実際の申請対応の流れを、根拠条文と最新の公表データを示しながら段階的に解説します。さらに、福祉事務所と混同されやすい「自立相談支援機関」「社会福祉協議会」との違い、住所不定の方でも申請できる現在地保護の原則(生活保護法第19条)、訪問前に準備すべき3つのポイントまで網羅しました。
これまで1,500件以上の物件契約を支援してきた経験から、現場で起きる典型的な相談つまずきポイントも反映しています。
申請に向けて最初の一歩を踏み出すための実務情報を、ぜひ最後までご確認ください。
福祉事務所とは | 生活保護の申請窓口となる行政機関
福祉事務所は、社会福祉法第14条に基づき設置されている社会福祉行政の第一線機関です。生活保護をはじめとする福祉サービスの相談・申請・決定を担う窓口で、市役所や区役所とは「同じ建物の中にあるが、別組織として位置づけられている」関係にあります。
設置根拠と全国の設置数
社会福祉法第14条第1項では、都道府県および市(特別区を含む)に対して、条例で福祉事務所を設置することを義務付けています。一方で町村については、設置するかどうかを各町村の判断に委ねる任意設置です(同条第3項)。
令和7年4月時点で全国に設置されている福祉事務所は合計1,240箇所(厚生労働省「令和7年版厚生労働白書」資料編)で、内訳は次のとおりです。
| 設置主体 | 設置数 | 設置義務 |
|---|---|---|
| 都道府県(郡部福祉事務所) | 204箇所 | 義務 |
| 市部(市・特別区) | 990箇所 | 義務 |
| 町村部 | 46箇所 | 任意 |
| 合計 | 1,240箇所 | — |
数のとおり、ほとんどの市部には自治体ごとに1つ以上の福祉事務所が設置されていますが、町村部では46箇所と少ないため、町村にお住まいの方は都道府県の郡部福祉事務所が担当することが基本です。
福祉事務所と市役所・区役所の関係
「福祉事務所はどこにあるのか」という疑問を持つ方は少なくありませんが、実際にはほとんどの場合、市役所・区役所の中に設置されているのが実情です。ただし、自治体ごとに窓口名称が大きく異なる点には注意が必要です。
たとえば関東4政令市では、次のように呼び名が変わります。
| 政令市 | 福祉事務所に相当する窓口名称 |
|---|---|
| 横浜市 | 区福祉保健センター 生活支援課 |
| 川崎市 | 区役所 保護課(地域みまもり支援センター内) |
| さいたま市 | 区役所 福祉課 保護係 |
| 千葉市 | 保健福祉センター 社会援護課 |
このように呼び名は違っても、いずれも社会福祉法第14条に基づく福祉事務所として、生活保護の決定・実施を行う機関であることに変わりはありません。お住まいの自治体の正確な窓口名は、各市の公式サイトまたは市区役所の代表電話で確認するのが確実です。
福祉事務所の主な役割|福祉六法・福祉三法と生活保護
福祉事務所は生活保護だけを扱う窓口ではありません。複数の福祉関係法令に基づく業務を担当しており、設置主体(都道府県か市町村か)によって所管する法律の範囲が異なります。
都道府県と市町村で異なる「所管法律の範囲」
社会福祉法第14条第5項・第6項では、設置主体ごとに以下のように所管事務を定めています。
| 設置主体 | 所管する法律 | 通称 |
|---|---|---|
| 都道府県(郡部) | 生活保護法・児童福祉法・母子及び父子並びに寡婦福祉法 | 福祉三法 |
| 市・町村 | 上記3法+老人福祉法・身体障害者福祉法・知的障害者福祉法 | 福祉六法 |
つまり、町村部にお住まいの方が都道府県の郡部福祉事務所を利用する場合と、市部にお住まいの方が市福祉事務所を利用する場合では、福祉事務所で相談できる「制度の幅」が異なります。高齢者福祉(老人福祉法)・障害者福祉(身体障害者福祉法・知的障害者福祉法)の相談は、市町村の福祉事務所が一元的な窓口となる仕組みです。
生活保護以外で福祉事務所が扱う相談内容
生活保護法以外で福祉事務所が窓口となる主な業務は以下のとおりです。
このため、福祉事務所への相談は「生活保護を申請するかどうか迷っている」段階でも歓迎されます。窓口で話を聞いてもらい、生活保護以外に活用できる制度がないかを一緒に検討するという入り口の使い方も可能です。
相談から申請・受給に至る段階的な役割
福祉事務所は生活保護申請の窓口というだけでなく、申請前の相談、申請後の調査・決定、受給開始後の自立支援まで一貫して関わる機関です。
| 段階 | 福祉事務所の役割 |
|---|---|
| ① 申請前の相談 | 制度説明・他制度活用の助言・必要書類の案内 |
| ② 申請の受理 | 申請書の受理・申請意思の確認 |
| ③ 調査・決定 | 資産・収入・扶養義務者の照会、家庭訪問、決定通知 |
| ④ 受給開始後 | ケースワーカーによる訪問・生活指導・自立支援プログラム |
| ⑤ 廃止・変更 | 状況変化に応じた保護廃止・変更の決定 |
「窓口で話を聞いてもらう」だけのつもりで訪問した相談者が、結果的に生活保護以外の制度(生活困窮者自立支援・住居確保給付金など)につながるケースも実務上多く見られます。
福祉事務所の組織体制|所長・査察指導員・ケースワーカーの3層構造
福祉事務所の内部は、社会福祉法第15条によって組織の構成が定められています。相談者の対応に直接当たる現場担当者から、組織全体を統括する所長まで、明確な役割分担のもとに運営されています。
法定の組織構成
社会福祉法第15条は、福祉事務所には所長(長)のほか、以下の所員を必ず置かなければならないと定めています。
| 職位 | 法律上の正式呼称 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 所長 | 長 | 都道府県知事・市町村長の指揮監督を受けて所務を掌理 |
| 査察指導員 | 指導監督を行う所員 | 所長の指揮監督下で現業事務の指導監督 |
| ケースワーカー | 現業を行う所員 | 家庭訪問・面接・調査・生活指導等の事務 |
| 事務員 | 事務を行う所員 | 各種事務処理 |
このうち、相談者が窓口や家庭訪問で実際に顔を合わせる担当者は基本的にケースワーカー(法律上は「現業を行う所員」)です。査察指導員はケースワーカーを束ねる立場(現場では「スーパーバイザー」「SV」とも呼ばれます)で、相談者と直接接する機会は限定的ですが、難しい判断が必要な案件では同席することもあります。
ケースワーカー1人あたりの担当世帯数の標準
社会福祉法第16条は、現業を行う所員(ケースワーカー)の標準的な配置数を以下のように定めています。
| 設置主体 | 標準配置数の基準 |
|---|---|
| 都道府県(郡部福祉事務所) | 被保護世帯390以下のときは6人。世帯数が65増えるごとに1人追加 |
| 市の福祉事務所 | 被保護世帯240以下のときは3人。世帯数が80増えるごとに1人追加 |
| 町村の福祉事務所 | 被保護世帯160以下のときは2人。世帯数が80増えるごとに1人追加 |
実務上は「市部のケースワーカーは1人あたりおおむね80世帯を担当」「郡部(都道府県)は1人あたり65世帯」という表現で語られることが多い数値です。ただしこれはあくまで「標準」であって、近年の被保護世帯数の動向や自治体の財政・人員配置の制約により、実際には1人のケースワーカーが標準を上回る世帯数を担当している福祉事務所もあります。これは特定の自治体に固有の問題ではなく、全国的に共通する構造的な課題として認識されているもので、現場のケースワーカーは限られた人員体制のもとで一人ひとりの相談者に丁寧に向き合う努力を続けています。訪問頻度や応答のスピードについて担当者から説明を受ける際は、こうした現場の事情を踏まえると、お互いに円滑な関係を築きやすくなります。
ケースワーカーの役割・訪問頻度・受給者側からの接し方については、別記事のケースワーカーとは|役割・訪問頻度・付き合い方で詳しく解説しています。
社会福祉主事という任用資格
福祉事務所の所長・査察指導員・ケースワーカーは、原則として「社会福祉主事」の任用資格を持つ職員が務めることになっています(社会福祉法第18条・第19条)。
社会福祉主事の任用資格は、満20歳以上で人格高潔・思慮円熟・社会福祉の増進に熱意を有する者で、かつ以下のいずれかに該当することが要件です。
「現場で対応してくれる担当者は専門資格を持っているのか」という点が気になる方も多いですが、福祉事務所の所員は社会福祉主事任用資格を取得している者として配置されているのが原則です。
福祉事務所での生活保護申請の流れ | 4ステップ
福祉事務所での生活保護申請は、概ね4つのステップを踏みます。「行ったその日に申請を受け付けてもらえるのか」「いつ決定が下りるのか」というのは多くの相談者が気にする点ですので、各ステップで何が行われるのかを明確にしておきます。
ステップ1:事前相談(初回訪問)
最初の訪問では、申請の前段階としての面談が行われます。相談者の生活状況・収入・資産・親族関係・住居の状況などを確認しながら、生活保護制度の概要、申請に必要な書類、他に活用できる制度(年金・各種手当・生活困窮者自立支援制度など)の説明を受けます。
事前相談は予約なしでも対応してもらえる場合が多いですが、混雑時は待ち時間が長くなることがあります。可能であれば代表電話で事前予約を取った方が確実です。
なお、この事前相談の段階で職員から「もう少し他の方法を試してから」「ご家族に頼んでみては」といった対応(いわゆる「水際対策」と批判される対応)を受けたと感じた場合でも、申請する意思を明確に示せば、申請書を受け取ること自体は法律上拒めません。生活保護法第7条は「保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始する」と定めており、申請権は申請者本人にあります。
ステップ2:申請書の提出
申請の意思を示し、申請書(保護申請書)に必要事項を記入して提出します。申請書は福祉事務所の窓口に備え付けられているほか、自治体によっては公式サイトからダウンロードできる場合もあります。
| 申請時に必要な主な書類 | 用途 |
|---|---|
| 申請書(保護申請書) | 申請の意思表示 |
| 本人確認書類(運転免許証・健康保険証等) | 本人特定 |
| 収入申告書 | 収入の状況把握 |
| 資産申告書 | 預貯金・不動産・自動車等の状況把握 |
| 家計状況の聞き取りメモ | 家賃・光熱費等の生活費把握 |
書類が完全に揃っていなくても、まず申請書を提出することは可能です。不足書類は後日提出することができます。重要なのは「申請の意思を書面で示す」という事実です。
申請書を提出すると、その時点で生活保護法第24条に基づく決定までの期間カウントが始まります。
ステップ3:調査(資産・収入・扶養義務)
申請書受理後、福祉事務所は申請者の生活実態を調査します。生活保護法第28条・第29条に基づく調査で、主な内容は以下のとおりです。
扶養義務照会については、令和3年(2021年)2月26日の事務連絡および同年3月30日の生活保護問答集改正により、運用の明確化が図られました。扶養照会の対象は「扶養義務の履行が期待できる」と判断される者に限られること、また申請者が照会を拒む場合は理由を丁寧に聞き取り、照会の要否を慎重に検討する対応方針が示されています。DV・虐待を受けていた場合、10年程度の音信不通が続いている場合、借金や相続問題で関係が対立している場合などは、照会を見送ることが認められるケースとして例示されています。
ステップ4:決定通知(原則14日以内・最長30日)
生活保護法第24条第3項により、福祉事務所は申請のあった日から原則14日以内に保護の要否・種類・程度・方法を書面で通知しなければなりません。ただし、扶養義務者の資産状況の調査などに日時を要する特別な理由がある場合は、最長30日まで延長することが認められています。
| 申請からの日数 | 状態 |
|---|---|
| 1日目 | 申請書受理(決定期間のカウント開始) |
| 〜14日目 | 原則の決定期限(書面通知必須) |
| 15〜30日目 | 特別な理由がある場合の延長可能期間 |
| 30日経過後 | 30日経過時点で通知がない場合は申請却下とみなして審査請求が可能 |
なお、生活保護法第24条第5項には「保護の申請をしてから30日以内に第1項の通知がないときは、申請者は、保護の実施機関が申請を却下したものとみなすことができる」とあります。これは申請者の権利を守るための重要な規定で、決定通知が30日来ない場合は、却下とみなして都道府県知事に対する審査請求の手続きを取ることができます。
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福祉事務所と他の相談窓口の違い
生活困窮や生活上の悩みを抱えた方が利用できる相談窓口は、福祉事務所だけではありません。よく似た役割を持つ機関がいくつか存在し、相談者から「どこに行けばいいのか」「すでに別の窓口に相談したけれど、福祉事務所にも行くべきか」という質問が寄せられることがあります。ここでは、混同されやすい3つの相談窓口と福祉事務所との違いを整理します。
自立相談支援機関(生活困窮者自立支援制度)との違い
自立相談支援機関は、生活困窮者自立支援法に基づき、平成27年(2015年)4月から各自治体に設置されている相談窓口です。「働きたくても仕事が見つからない」「家賃が払えなくなりそう」「家計を立て直したい」といった、生活保護に至る前段階の方を主な対象としています。
| 項目 | 福祉事務所 | 自立相談支援機関 |
|---|---|---|
| 根拠法 | 社会福祉法第14条 | 生活困窮者自立支援法 |
| 主な対象者 | 生活保護の要保護者 | 生活保護に至る前段階の生活困窮者 |
| 主な支援内容 | 生活保護の決定・実施・自立支援 | 自立相談・住居確保給付金・就労準備支援・家計改善支援 |
| 設置場所 | 市役所・区役所等の中 | 自治体ごとに設置形態が異なる(直営・社協・NPO等への委託の場合あり) |
自立相談支援機関と福祉事務所は連携関係にあり、自立相談支援機関での相談を通じて「やはり生活保護の申請が必要」と判断された場合は、福祉事務所への引き継ぎが行われます。逆に福祉事務所での事前相談で「現時点ではまだ生活保護に至らない」と判断された場合に、自立相談支援機関を案内されることもあります。
社会福祉協議会との違い
社会福祉協議会(社協)は、社会福祉法第109条以下に基づき各市区町村に設置されている民間の社会福祉法人です。「協議会」という名称から行政機関と混同されがちですが、行政が設置する福祉事務所とは別組織で、地域福祉の推進を主な目的とした団体です。
社協が扱う主な業務には以下があります。
このうち、生活費に窮した方が一時的に少額の借入を必要とする場合に活用される「生活福祉資金貸付」は社協の代表的な業務ですが、これは貸付であり返済義務が生じる点で、給付である生活保護とは性質が異なります。福祉事務所と社協は、相談者の状況に応じて使い分けが必要です。
民間支援団体との違い・併用の可能性
NPOや任意団体として活動する民間支援団体は、福祉事務所への申請同行・住居確保のサポート・食料支援などを行っています。福祉事務所が公的機関であるのに対し、民間支援団体は柔軟な対応や伴走型の支援を強みとする点で、相互補完的な関係にあります。
行政機関である福祉事務所と民間支援団体は併用可能で、実際に申請手続きの段階で支援団体の方が同行するケースは珍しくありません。詳細は本記事の次のH2「福祉事務所を訪問する前の準備」で取り上げます。
福祉事務所を訪問する前の準備 | 3つのポイント
福祉事務所での相談・申請を円滑に進めるために、訪問前に準備しておくと役立つことが3つあります。事前準備が整っていれば、当日の面談で必要な情報をスムーズに共有でき、担当者との対話も建設的に進めやすくなります。
事前の電話相談・予約
ほとんどの福祉事務所では、訪問前の電話相談・予約に対応しています。電話で「生活保護の相談で訪問したい」と伝えれば、担当窓口の受付時間・必要書類・予約可否などを案内してもらえます。
事前予約のメリットは以下のとおりです。
混雑時に予約なしで訪問すると、面談まで長時間待つことや、当日中に対応が完結しないケースもあります。心身の状態が不安定なときの長時間の待機は負担が大きいため、可能なかぎり事前予約をおすすめします。
持参書類の準備
事前相談の段階では厳密にすべての書類が揃っている必要はありませんが、以下のような書類があれば手元に準備しておくと面談がスムーズです。
| 書類カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカード・健康保険証等 |
| 収入関連 | 直近の給与明細・年金通知書・離職票・雇用保険受給資格者証等 |
| 資産関連 | 預貯金通帳(直近数ヶ月分)・生命保険証券等 |
| 住居関連 | 賃貸借契約書・家賃の領収書等 |
| 健康関連 | お薬手帳・診断書(あれば) |
| 家族関連 | 戸籍謄本(必要に応じて) |
完璧に揃わなくても訪問してかまいません。「これしか持っていない」という状態でも、まず相談に行くことが重要です。福祉事務所側で必要な書類を案内してくれますので、不足分は後日提出する形で進められます。
支援者同行の可否
福祉事務所への相談・申請には、家族・友人・民間支援団体の方など、支援者の同行が認められています。一人で訪問するのが不安な場合、慣れない手続きで戸惑いそうな場合、あるいは精神的・身体的な不調がある場合などは、信頼できる方に同席してもらうことを検討してください。
同行者がいることで以下のメリットがあります。
支援団体の方が同行する場合、事前に「○○さんに同行してもらいます」と電話で伝えておくと、当日の対応がスムーズです。
住所不定の方も申請可能 | 現在地保護の原則
「住むところがない」「住民票が今いる場所と違う」という方も、生活保護を申請できます。生活保護法第19条第1項第2号は、居住地がないか居住地が明らかでない要保護者であっても、現在地を所管する福祉事務所が保護を決定・実施する義務を負うと定めています。
| 状況 | 申請先 |
|---|---|
| 住民票がある自治体に住んでいる | 住民票がある自治体の福祉事務所 |
| 住民票はあるが別の自治体に住んでいる | 実際に住んでいる自治体の福祉事務所 |
| 住民票がない・住所不定 | 現在いる場所(現在地)を所管する福祉事務所 |
| 住民票はあるが急迫した状況にある | 現在地を所管する福祉事務所(生活保護法第19条第2項) |
「住所不定だから申請できないのではないか」「住民票のある自治体まで戻らないと申請できないのではないか」と考えて諦めてしまう方がいらっしゃいますが、これは誤解です。現在地保護の原則は、住居を失った状態にある方を確実に保護するために設けられた重要な仕組みで、現に困っている場所の福祉事務所が責任を持って対応することが法律上明確に定められています。
よくある質問(FAQ)
- Q福祉事務所と市役所・区役所はどう違うのですか?
- A
福祉事務所は社会福祉法第14条に基づき設置されている社会福祉行政の専門機関で、市役所・区役所とは別組織として位置づけられています。多くの場合、市役所・区役所の建物内に福祉事務所が設置されているため「同じ場所にある別組織」という関係です。窓口の正式名称は自治体ごとに「生活支援課」「保護課」「福祉課保護係」「社会援護課」など異なりますが、いずれも社会福祉法第14条に基づく福祉事務所として、生活保護の決定・実施を担当する機関であることに変わりはありません。
- Q福祉事務所に予約なしで行っても対応してもらえますか?
- A
ほとんどの福祉事務所は予約なしでも対応してくれますが、混雑時は面談まで長時間待つことや、当日中に対応が完結しないケースがあります。可能であれば代表電話で事前予約を取ったうえで訪問することをおすすめします。事前予約により待ち時間の短縮・担当者による事前準備・必要書類の事前確認などのメリットが得られ、当日の面談もスムーズに進めやすくなります。
- Q福祉事務所に行ったら必ず生活保護を申請しなければなりませんか?
- A
いいえ、申請は本人の意思に基づくものです(生活保護法第7条 申請保護の原則)。福祉事務所への訪問は相談だけでも問題ありません。事前相談を通じて、生活保護以外に活用できる制度(生活困窮者自立支援制度・住居確保給付金・各種手当など)を案内されることもあります。「相談したら申請を強制される」という心配はありませんので、迷っている段階でも気軽に窓口に行ってかまいません。
- Q福祉事務所での相談内容が近所の人や家族に知られることはありますか?
- A
福祉事務所の職員は地方公務員法第34条に基づく守秘義務を負っており、相談内容を正当な理由なく第三者に漏らすことは法律で禁じられています。近所の人や職場に相談・申請の事実が知られることは基本的にありません。ただし、扶養義務照会(親族への扶養可能性の問い合わせ)を行う場合は、対象となる親族に申請の事実が伝わります。扶養照会を希望しない事情がある場合は、相談時にその旨を伝えれば、丁寧な聞き取りのうえで照会の要否を検討する運用が示されています。
- Q遠方や事情があり訪問が難しい場合、電話やオンラインで申請できますか?
- A
生活保護の正式な申請は、原則として福祉事務所の窓口での対面手続きが必要です。ただし、初回相談や問い合わせの段階では電話相談を活用できますし、自治体によってはオンライン相談の窓口を整備している場合もあります。心身の不調・障害・遠方居住などで窓口への訪問が困難な場合は、訪問日時の調整・職員による家庭訪問での対応・民間支援団体の同行支援などを利用できることがあります。まずは管轄の福祉事務所に電話で状況を伝え、利用可能な手段を相談してください。
- Q福祉事務所からは申請後どの程度の頻度で家庭訪問されますか?
- A
受給開始後のケースワーカーによる家庭訪問は、世帯の状況により頻度が異なります。一般的には半年から1年に1回程度の定期訪問が基本となり、就労状況・健康状態に変化があった場合や、新たな相談事項が生じた場合には追加で訪問が行われます。訪問の目的は監視ではなく、生活状況の把握と自立支援のための情報共有です。訪問日時は基本的に事前調整されるため、突然訪問されることは原則ありません。
- Q福祉事務所の窓口で「申請できない」と言われた場合はどうすればよいですか?
- A
生活保護法第7条により、申請は要保護者本人・扶養義務者・同居親族の意思に基づき開始される権利として保障されており、申請する意思を明確に示せば、福祉事務所は申請書を受け取らなければなりません。窓口での説明に納得できない場合は、信頼できる支援者の同行を検討する・地域の生活困窮者支援団体に相談する・申請の意思を書面で示すといった対処法があります。決定通知が30日以内に届かない場合や、却下決定に不服がある場合は、都道府県知事に対する審査請求を行う権利も法律上認められています。
まとめ
生活保護の申請窓口となる福祉事務所は、社会福祉法第14条に基づき全国に1,240箇所(令和7年4月時点)設置されている社会福祉行政の第一線機関です。所長・査察指導員・ケースワーカーの組織体制のもとで、生活保護をはじめとする福祉サービスの相談・申請・決定・自立支援までを一貫して担当しています。申請から決定までは原則14日以内・最長30日と法律上の上限が定められており、住民票がない方も現在地保護の原則(生活保護法第19条)により申請が可能です。
訪問前には①事前の電話相談・予約、②必要書類の準備、③信頼できる支援者の同行検討、という3つのポイントを押さえておくと、初めての訪問でも建設的な相談を進めやすくなります。住まいの確保について不安がある方や、申請後の物件探しを並行して進めたい方は、生活保護受給者向けの賃貸仲介を専門とする無料相談窓口もあわせてご活用ください。
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