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生活保護で引越し費用は支給される?18ケース完全網羅【2026年最新】

生活保護の引越し費用は支給される?条件と手続きを解説【2026年版】 住まい・引越し

生活保護で引越し費用は支給される?18ケース完全網羅【2026年最新】

生活保護を受給しながら引越しを検討するとき、「敷金や運搬費は支給されるのか」「自己負担になったらどうしよう」という不安を抱える方は少なくありません。実際、引越し費用は条件を満たせば住宅扶助の特別基準として支給されますが、その対象は厚生労働省の課長通知に明記された18ケースに限定されており、自己都合の転居(広い部屋に住みたい・新築希望など)は原則として認められません。

本記事では、生活保護受給者向けの賃貸仲介を1,500件以上支援してきた実績をもとに、昭和38年4月1日社保第34号 厚生省課長通知 第7問30に列挙された支給対象18ケースの完全リスト、敷金等の上限額(東京209,400円・横浜204,000円)、申請手続きの実務、そして大阪市福祉局が令和7年8月に公表した誤運用訂正事例から学ぶ「正しい上限額の確認方法」までを網羅します。

2025年10月施行の居住サポート住宅制度との関係や、申請が却下されたときの対処法(審査請求3か月以内)まで、一次資料に基づいて整理しました。引越し費用の支給可否を見極め、必要な手続きをスムーズに進めるための実務情報を、最後までご確認ください。


引越し費用は支給される?結論と支給判断の分かれ目

生活保護受給者の引越し費用は、厚生労働省の課長通知に列挙された18ケースのいずれかに該当し、福祉事務所が必要と認めた場合に支給されます。逆に、自己都合(広い部屋希望・立地選好・新築希望など)の引越しでは原則として支給対象外です。

支給される費目は大きく3つに分かれます。

支給される3つの費目

  • 敷金等(敷金・礼金・前家賃・仲介手数料・火災保険料・保証会社保証料):住宅扶助限度額×1.3×3が上限
  • 運搬費(移送費):引越業者への運搬費の実費(3社見積で最安値採用)
  • 家具什器費:新規居宅生活開始時に最低限の家具がない場合、34,400円〜54,800円

この支給可否を判断する根拠は3階建ての通知体系になっています。①生活保護法第14条(住宅扶助)、②昭和38年社発第246号 局長通知 第7-4-(1)-カ、③同日 社保第34号 課長通知 第7問30。実務上、福祉事務所のケースワーカーが支給可否を判断する際の決め手は、課長通知 第7問30 答に列挙された18項目への該当性です。

この18項目は京都府行政不服審査会の平成30年答申をはじめ、複数の審査請求裁決で「敷金等を必要とする場合は18項目に限定される」と判断されており、それ以外の自己都合転居では認められません。


支給される18ケース完全一覧

課長通知 第7問30 答に列挙された支給対象は以下の18ケースです(令和3年2月26日付 保護課事務連絡 別添4を出典として整理)。

ケース名適用要件・典型シーン
入院患者の退院時に帰住先がない長期入院からの社会復帰、精神科退院
福祉事務所の指導による低額住居への転居住宅扶助超過家賃からの転居
土地収用法・都市計画法等による強制立退き再開発、区画整理事業
退職等による社宅・寮からの転居リストラ、定年退職
社会福祉施設等からの退所で帰住先がない救護施設・更生施設から自立
宿所提供施設・無料低額宿泊所等から居宅生活への移行無低・シェルターからのアパート転宅
賃貸人等による不当行為「貧困ビジネス」物件からの転居
通勤困難による就労場所付近への転居遠距離通勤の解消
火災等の災害による現住居の消滅・居住不能火災・水害・地震被害
老朽・破損により居住にたえない状態雨漏り、傾き、設備故障
著しく狭隘又は劣悪で居住にたえない世帯員増加で手狭になった場合
病気療養上の環境悪化・障害者の設備不適合階段の昇降困難、バリアフリー必要
親戚・知人宅に一時寄宿していた者の転居友人宅からの独立
家主からの正当な立退要求・契約更新拒絶建物建替、家主自己使用
離婚(事実婚解消含む)による新住居の必要婚姻解消に伴う別居
扶養義務者の日常的介護を受けるための近隣転居親子の近居介護
法定施設(グループホーム・有料老人ホーム・サ高住等)への入居介護必要度の上昇
犯罪被害・同居者からのDV等による安全確保DV避難、ストーカー被害

グレーゾーンと自治体裁量

18ケースは「限定列挙」として運用されているものの、実務上はケースワーカーの裁量が分かれるケースもあります。

判断が分かれやすい主なケース

  • 「築古から築浅へ」の単純な転居希望:京都府平成30年答申第2号でケース10・12非該当として却下が支持された事例あり
  • 病気療養上の環境悪化主張:医師意見書の有無で結論が変わる
  • ピッキング等の犯罪被害主張:警察への被害届の有無が判断材料
  • ケース2「実施機関の指導に基づく転居」:ケースワーカーが文書で転居指導書(生活保護法第27条)を発出しているかが争点

主張が認められない場合は、医師意見書・写真・警察相談票・立退通知書などの客観的立証資料を追加することで再評価される可能性があります。


敷金・運搬費・家具什器費の上限額

支給される費目ごとに上限額の算出方法が異なります。それぞれを正確に把握しておくことで、申請時の見積調整や物件選定がスムーズに進みます。

敷金等の上限額(住宅扶助限度額×1.3×3)

敷金・礼金・仲介手数料・火災保険料・保証会社保証料・前家賃は「敷金等」として一括して支給判定されます(課長通知 問35)。上限額の計算式は以下です。

敷金等の上限額の計算式

  • 単身世帯・複数人世帯(2〜6人):住宅扶助限度額 × 1.3 × 3
  • 7人以上世帯:住宅扶助限度額 × 1.3 × 1.2 × 3

なお単身世帯にも「×1.3」の特別基準が適用されることは、平成21年12月25日付 厚生労働省保護課長通知で確定しています。

主要自治体の敷金等支給上限額(単身・2025年度参考値)は以下のとおりです。

自治体住宅扶助単身限度額特別基準額(×1.3)敷金等上限(×3)
東京都特別区・多摩24市53,700円69,800円209,400円
神奈川県川崎市53,700円69,800円209,400円
神奈川県横浜市52,000円68,000円204,000円
神奈川県相模原市41,000円53,000円159,000円
埼玉県さいたま市47,700円62,000円186,000円
千葉県千葉市41,000円53,000円159,000円
北海道札幌市(16㎡以上)36,000円46,000円138,000円
北海道札幌市(11〜15㎡)32,000円41,600円124,800円
データ年月:令和7年度告示準拠(平成27年7月1日改定以降は据置き)

運搬費(移送費)

引越業者への運搬費は実費が支給されます。原則として3社以上から見積を取得し、福祉事務所が最安値の見積を採用する運用が一般的です。明示的な金額上限はありませんが、以下の点に注意してください。

  • 荷造り・荷ほどき等のオプションサービスは原則対象外
  • 不用品処分費は支給対象外
  • 福祉事務所が業者へ直接支払う運用(代理納付的対応)も一般的

家具什器費・布団等(一時扶助)

新規居宅生活開始時に最低限の家具什器を欠く場合、別枠で家具什器費が支給されます。

区分基本額特別基準額
家具什器費(一般)34,400円以内54,800円以内
冷房器具(エアコン・運搬設置費含む)62,000円以内
暖房器具24,000円以内
炊事用具32,300円以内
布団類新品20,400円・再生13,900円程度

支給対象となるのは「保護開始時に持合せがない」「長期入院後の退院」「災害」「転居」(局長通知第7-2-(6))等の局面に限られます。

自治体運用差(鍵交換費用など)

東京都では被保護者自立支援促進事業の「地域生活移行支援」枠で鍵交換費用 上限2万円(税込)が別枠支給可能です。一方、神奈川県・千葉県・埼玉県には原則として鍵交換費用の制度的支給枠がなく、ケースワーカーの判断となります。24時間サポート費・室内消毒料・抗菌クリーニング料は全自治体共通で自己負担(住宅扶助・一時扶助の対象外)です。共益費・管理費も住宅扶助対象外で、生活扶助からのやり繰りとなります。


申請手続きと必要書類

引越し費用の申請は、必ず賃貸借契約の「前」にケースワーカーの許可を取得することが鉄則です。事後申請では18ケース該当性の判断が事後検証となり、却下リスクが急増します(大阪市平成30年度答申第6号でも事後申請による費用徴収処分が確定)。

申請フロー(10ステップ)

実務上の標準フローは以下の10ステップで進行します。

  1. ケースワーカーへ転居の必要性を相談(口頭での事前相談)
  2. 転居理由書・必要書類の提出(医師意見書・立退通知書等)
  3. 福祉事務所が「18ケース該当性」を判断(ケース診断会議)
  4. 物件探索(住宅扶助限度額内、生保可物件)
  5. 不動産会社で見積書取得(重要事項説明書・契約書案・初期費用内訳)
  6. 引越業者の見積を3社以上取得
  7. 全書類をケースワーカーに提出→福祉事務所が支給額決定
  8. 賃貸借契約(ケースワーカー許可後)・一時扶助の支給決定通知
  9. 契約・引越実行→領収書等を福祉事務所へ事後提出
  10. 管外転居の場合は移管手続(2〜3か月要・保護継続)

必要書類のチェックリスト

申請時に揃えるべき書類は以下のとおりです。書類が揃わないとケース診断会議で判定が留保されるため、事前にケースワーカーと確認しておきましょう。

申請時の必要書類

  • 保護変更申請書(敷金)・保護変更申請書(移送費)(自治体様式)
  • 転居理由書(自由書式または自治体様式)
  • 賃貸借契約書案・重要事項説明書
  • 初期費用内訳の見積書(不動産会社発行)
  • 引越業者の見積書(3社分)
  • 必要に応じて:医師意見書、立退通知書、警察被害届、DV保護命令等

申請が却下されたときの対応

万が一却下処分が出た場合、生活保護法64条に基づき処分を知った日の翌日から3か月以内に都道府県知事へ審査請求書を提出できます。重要なのは、ケースワーカーの「口頭での却下」は処分ではないため、必ず書面での処分通知を求めることです(行政手続法に基づく権利)。

その後の対処段階は以下のとおりです。

  • 審査請求:都道府県知事へ(3か月以内)
  • 再審査請求:厚生労働大臣へ(生活保護法66条)
  • 処分取消訴訟:審査請求裁決後6か月以内に裁判所へ(生活保護法69条)
  • 支援団体への相談:日弁連法律援助事業、認定NPO法人もやい、つくろい東京ファンド、各地の生活と健康を守る会など

大阪市の誤運用訂正事例から学ぶ「正しい上限額」の確認

支給上限額の計算には自治体側が誤った運用をしていた事例もあるため、受給者本人や支援者は支給根拠を明示的に確認することが重要です。

令和7年8月26日 大阪市福祉局の誤運用公表

大阪市福祉局は2025年(令和7年)8月26日付で報道発表し、敷金等の上限額計算を「住宅扶助限度額×4」と誤った計算式で運用していたことを公表しました(正しくは「特別基準額(限度額×1.3)×3」)。

項目内容
影響範囲15機関34名
支給不足総額540,290円
公表日2025年(令和7年)8月26日
原因平成21年12月25日付 課長通知への対応未反映

この事例から得られる実務上の教訓は3つあります。

自治体の誤運用から身を守る3つのチェック

  1. 支給根拠の確認:「特別基準額(限度額×1.3)×3」が正しい計算式であることをケースワーカーに確認
  2. 見積書と支給決定額の照合:見積書の初期費用合計が上限額の範囲内なら、減額提示があれば計算根拠の説明を求める
  3. 疑問があれば書面で照会:口頭ではなく書面でケースワーカーへ照会することで、後の審査請求時の証拠となる

他自治体でも類似の誤運用が潜在している可能性は否定できません。自分の世帯構成・住居地域に基づく敷金等上限額は、本記事の表(または local-facts の最新値)で照合しておくことを推奨します。


2025〜2026年の最新改正と引越し制度の変化

引越し費用支給制度を取り巻く法制度は、近年大きく動いています。実務に影響する2つの改正を整理します。

居住サポート住宅制度(2025年10月1日施行)

住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律(令和6年法律第43号)により、2025年10月1日から居住サポート住宅制度が開始されました。

  • 制度概要:居住支援法人等が大家と連携し、安否確認・見守り・福祉サービスへのつなぎを実施。市区町村長等が認定
  • 生活保護受給者の家賃:原則「代理納付」(保護の実施機関から大家へ直接振込)
  • 家賃債務保証:認定保証業者が原則引受け
  • 政策KPI:施行後10年間で10万戸の供給・市区町村人口カバー率9割

敷金等支給ルール自体は従来の社保第34号 問30が引き続き適用されますが、代理納付化により家賃滞納リスクが軽減され、大家・不動産会社側の入居受入が円滑化されることが期待されます。

住居確保給付金(転居費用補助)の創設(2025年4月1日施行)

改正生活困窮者自立支援法(令和6年法律第21号)により、住居確保給付金に転居費用補助が新設されました。ただし、これは生活保護受給者向けではなく「生活困窮者(住居確保給付金受給者)」向けの制度です。生活保護受給者は引き続き、本記事の課長通知 第7問30 による支給ルートを利用します。

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よくある質問(FAQ)

Q
申請から引越し完了までどのくらい期間がかかりますか?
A

標準的には3〜6週間程度が目安です。申請からケースワーカーの18ケース該当性判断(ケース診断会議)までに1〜2週間、物件探索と見積取得に1〜2週間、契約・引越実行までさらに1〜2週間が必要です。管外転居(自治体跨ぎ)の場合は移管手続きに2〜3か月かかりますが、その間も従前自治体の保護は継続します。

Q
不動産会社や引越業者は受給者本人が自由に選べますか?
A

本人選定が原則ですが、福祉事務所が指定する場合もあります。引越業者は3社以上の見積取得が原則で、福祉事務所が最安値を採用します。不動産会社については、生活保護受給者の対応に慣れている会社を選ぶことで、保証会社審査や代理納付の手続きがスムーズに進みます。

Q
連帯保証人がいない場合、保証会社保証料は支給されますか?
A

支給されます。課長通知 問35 で、保証会社保証料は「不動産手数料・火災保険料・保証料」の一部として敷金等の認定対象に含まれることが明確化されています。ただし、契約更新時の保証料は「敷金等」ではなく更新料の枠(特別基準額の1.5倍以内)で扱われ、初期と更新で取扱いが異なる点に注意が必要です。

Q
退去時の原状回復費用は支給されますか?
A

原則として支給されません。入居時に支払った敷金で賄うのが基本です(生活保護問答集 問7-117)。例外として、契約時に敷金を支払っていない場合で、①原状回復特約があり、②社会通念上やむを得ない範囲で、③故意・重過失ではない毀損 — の3要件を満たすときに限り、必要最小限度を住宅維持費として認定可能です。

Q
旧居の敷金返還金は新居の敷金に充当できますか?
A

原則として収入認定対象ですが、課長通知 問31 により「実施機関の指導又は指示により転居した場合(18ケースのうちケース2に該当)」は、当該返還金を新居の敷金に充当することが認められます。それ以外のケースでは返還金は当該月の収入として認定され、住宅扶助・生活扶助の支給額に影響します。

Q
同居人名義で賃貸契約してもいいですか?
A

原則として生活保護受給者本人名義での契約が前提です。同居人名義の契約は住宅扶助代理納付や敷金返還の扱いが複雑化し、福祉事務所が支給を渋るケースもあります。世帯員が複数いる場合は世帯主名義での契約が一般的です。やむを得ず同居人名義になる場合は、ケースワーカーに事前相談のうえで対応してください。

Q
引越し費用の申請が却下されました。どうすればいいですか?
A

まず書面での処分通知を求めてください(行政手続法に基づく権利)。書面通知を受領したら、3か月以内に都道府県知事へ審査請求が可能です(生活保護法64条)。同時に、却下理由に対する反証資料(医師意見書、警察相談票、立退通知書、写真など)を追加準備しましょう。弁護士・支援団体(日弁連法律援助事業、認定NPO法人もやい、つくろい東京ファンド等)への相談も推奨します。


まとめ|引越し費用支給を確実にするための3つのポイント

生活保護受給者の引越し費用支給は、18ケース該当性・契約前申請・支給上限の正しい確認の3点を押さえることで、トラブルを最小限に抑えられます。

  1. 18ケース該当性の事前確認:厚労省課長通知 第7問30 答に列挙された18項目のいずれに該当するかを、医師意見書・立退通知書・警察相談票などの客観資料とともにケースワーカーへ提示する。
  2. 賃貸借契約は必ずケースワーカーの許可後:契約前申請が鉄則。事後申請は却下リスクが急増し、最悪の場合は費用徴収処分の対象になる。
  3. 支給上限額は「特別基準額×3」で照合:大阪市の誤運用事例(R7.8.26 公表)を踏まえ、自分の住居地域における敷金等上限額(東京209,400円・横浜204,000円・札幌138,000円ほか)を本記事の表で確認し、見積書合計が上限以内に収まるよう物件選定を進める。

引越しは生活再建の重要な節目です。住まいの選定から保証会社対応、初期費用の見積取得まで、生活保護受給者向け賃貸仲介の専門家がサポートします。物件探しや申請手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。


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