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居住サポート住宅とは | 生活保護受給者にとって何が変わるのか?

生活保護を受けながら住まいを探していると、部屋そのものは空いているのに入居を断られる、という経験をされる方が少なくありません。「保証人がいない」「ひとり暮らしで何かあったら困る」といった理由で話が進まなくなる状況は、長いあいだ解決されないままでした。

2025年10月1日、この問題に正面から向き合うための新しい仕組みが始まりました。「居住サポート住宅」です。入居したあとの見守りまでを含めた賃貸住宅として、行政が認定する制度です。

制度そのものの説明は、国や自治体のホームページでも読むことができます。ただ、そこには「生活保護を受けている人にとって、実際に何がどう変わるのか」までは、あまり書かれていません。この記事では、制度のしくみを整理したうえで、生活保護を受けながら住まいを探している方の暮らしのどこが変わるのかを具体的にお伝えします。あわせて、いま知っておいたほうがよい注意点にも触れます。


居住サポート住宅とは、どんな住まいなのか

居住サポート住宅とは、大家さんと居住支援法人などが連携して、入居している方に対して見守りなどのサポートを行う賃貸住宅のことです。ふつうの賃貸住宅は「部屋を貸す」ところで関係が終わりますが、居住サポート住宅は「入居したあとの暮らし」までを含んだ住まいだと考えるとわかりやすいと思います。

正式名称は「居住安定援助賃貸住宅」

法律上の正式名称は「居住安定援助賃貸住宅」といいます。役所の書類やホームページではこちらの名称で書かれていることも多いので、頭の片隅に置いておくと迷わずに済みます。呼び名は違いますが、指しているものは同じです。

根拠となっているのは、住宅セーフティネット法(正式には「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」)です。2024年6月にこの法律が改正され、居住サポート住宅の認定制度が新しく設けられました。制度が実際に動き出したのは2025年10月1日からです。

認定するのは都道府県または市区町村

居住サポート住宅は、事業者が「こういう住宅で、こういうサポートを行います」という計画をつくり、行政に認定してもらうことで成り立ちます。認定を行うのは、福祉事務所が置かれている市区町村ではその市区町村、それ以外の地域では都道府県です。

「うちの市は認定していないのでは」と思われるかもしれませんが、認定する主体がどこかは地域によって違うだけで、制度そのものは全国共通です。まずはお住まいの市区町村の窓口に尋ねるのが確実です。


なぜこの制度が生まれたのか

空き部屋はあるのに、入居できない

日本では高齢化とひとり暮らしの増加が同時に進んでいます。総務省の住宅・土地統計調査(2023年)によると、全国の空き家は約900万戸あり、そのうち賃貸用の住宅は約443万戸を占めています。部屋が足りないわけではありません。

それでも入居を断られてしまうのは、大家さんの側に不安があるからです。国の調査でも、高齢の方や障害のある方に対して入居に抵抗を感じる大家さんは少なくないことが示されています。理由として挙げられるのは、主に次の3つです。

  • ひとり暮らしの方に何かあったときに気づけないのではないかという不安
  • 家賃が滞ってしまうのではないかという不安
  • 亡くなられた場合の手続きや残された物の整理をどうするかという不安

これらはいずれも、入居を希望する方の人柄や生活態度とは関係のない不安です。だからこそ、個人の努力ではなく制度で答える必要がありました。

「入居できても、そのあとが支えられていない」という課題

2017年に始まったセーフティネット住宅の制度は、入居を断らない住宅を登録して情報を届けるしくみでした。住まいを見つけやすくするという点では前進でしたが、入居したあとの暮らしまでは制度の対象になっていませんでした。

その結果、「部屋は借りられたけれど、そのあと誰ともつながらないまま孤立してしまう」という課題が残りました。住まいと福祉を一体で支える必要がある、という考え方から生まれたのが居住サポート住宅です。


セーフティネット住宅と何が違うのか

名前が似ているため混同されやすいのですが、この2つは別の制度です。違いを整理すると次のようになります。

比較する点セーフティネット住宅居住サポート住宅
制度の種類登録制度認定制度
行政の関わり都道府県などが登録を受け付ける都道府県または市区町村が計画を認定する
目的入居を断らない住宅の情報を広く知らせる入居したあとの暮らしを支える
安否確認・見守り制度としては求められていない制度の柱として必ず提供される
福祉サービスとの連携任意認定の要件
住宅扶助の代理納付個別の判断による原則として行われる
家賃債務保証一般の保証会社国が認定した保証業者が原則引き受ける
制度が始まった時期2017年10月2025年10月

いちばん大きな違いは、上から4行目です。セーフティネット住宅は「入居を断られない住まいを見つけやすくする」ための仕組みでした。居住サポート住宅は、そこに「入居したあとの見守り」が加わっています。

なお、2つの制度は排他的なものではありません。セーフティネット住宅として登録されている住宅が居住サポート住宅の認定も受けることはできますし、登録はせずに認定だけを受けることもできます。


生活保護を受けている人にとって何が変わるのか

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。居住サポート住宅には、生活保護を受けている方に関わる取り扱いがいくつか明確に定められています。順に見ていきます。

① 住宅扶助の代理納付が原則になる

いちばん実務的な変化がこれです。生活保護を受けている方が居住サポート住宅に入居する場合、家賃にあたる住宅扶助費は、原則として福祉事務所から大家さんへ直接支払われます。これを代理納付といいます。

代理納付はもともと生活保護法にある仕組みで、居住サポート住宅のためにつくられたものではありません。ただ、これまでは福祉事務所の判断で個別に適用されるものでした。それが居住サポート住宅では「原則そうする」という位置づけになった、という点が変わったところです。

入居する側から見ると、家賃が自動的に支払われるので、うっかり使ってしまって滞納する心配がなくなります。大家さんから見ると、家賃が確実に入ってくる見通しが立ちます。入居を断られる理由の多くは家賃への不安なので、この点が制度として担保されている意味は小さくありません。

代理納付そのもののしくみについては、生活保護の代理納付とは?仕組み・メリット・申請方法をわかりやすく解説で詳しく説明しています。

② 家賃債務保証を認定を受けた業者が引き受ける

賃貸契約では保証会社の審査が必要になることがほとんどですが、ここで断られてしまう方は少なくありません。居住サポート住宅では、入居する方の家賃債務保証について、国が認定した保証業者が原則として引き受けることとされています。

保証人が見つからないために部屋探しが行き詰まってしまう、という状況に対して、制度の側から手当てがされている形です。保証人がいない場合の賃貸契約全般については、生活保護で保証人なしでも賃貸は借りられる!3つの方法と審査のコツもあわせてご覧ください。

③ 入居したあとに見守りがある

3つ目は、暮らしの安心に関わる部分です。居住サポート住宅では、入居後に安否確認や見守りが行われます。ひとり暮らしで体調に不安がある方、体を悪くしたときに頼れる家族が近くにいない方にとっては、これが実質的にいちばん大きな違いになることもあります。

「見守られる」と聞くと監視されているように感じる方もいるかもしれませんが、内容は次の章で説明するとおり、体調の異変に気づいてもらうための仕組みです。生活の中身に立ち入って指図されるものではありません。


受けられる3つのサポートの中身

居住サポート住宅では、援助を必要とする入居者に対して、次の3つのサポートをすべて提供することが決められています。どれか1つだけ、という運用は認められていません。

① 安否確認

入居している方が無事でいるかを確認するものです。国の解説書では、常に作動していて異変を検知できる通信機器を設置するか、1日1回以上の訪問などを行うか、いずれかの方法で確認することとされています。

通信機器を使う場合は、人の動きを感知するセンサーなどが想定されています。異変が起きてから判断されるまでの時間が24時間以内であること、機器が故障したときにそれが検知される仕組みであることも求められています。「機械を置いて終わり」にはならないよう設計されている、ということです。

② 見守り

安否確認が「無事かどうか」の確認であるのに対して、見守りは訪問などを通じて心と体の状態、暮らしの様子を把握するものです。困りごとが大きくなる前に気づいてもらえる、というのがこのサポートの役割です。

③ 福祉サービスへのつなぎ

見守りの中で支援が必要な状況が見えてきたときに、介護保険や障害福祉のサービス、医療機関など、適切な相談先につないでもらえる仕組みです。どこに相談すればよいかわからないまま状況が悪くなってしまう、ということを防ぐためのものです。

介護や医療に関する制度以外にも、生活の立て直しを支える制度があります。生活保護に至る手前の段階で使える制度については、生活困窮者自立支援制度と生活保護の違いで整理しています。


入居できる人と、認定される住まいの基準

入居の対象になる人

居住サポート住宅に入居できるのは、住宅セーフティネット法でいう「住宅確保要配慮者」にあたる方です。おおむね次のような方が含まれます。

  • 収入が一定額を超えない方(生活保護を受けている方はここに含まれます)
  • 高齢の方
  • 障害のある方
  • 高校生相当の年齢以下の子どもを育てている方
  • 被災された方(発災から3年以内)
  • 外国籍の方 など

この範囲は、都道府県や市区町村がつくる計画によって独自に広げられることがあります。ご自身が対象になるかどうかは、お住まいの自治体の窓口で確認するのが確実です。

「専用住宅」と「非専用住宅」がある

居住サポート住宅には2つの種類があります。入居する方を援助が必要な方に限る「専用住宅」と、入居する方を限定しない「非専用住宅」です。

ここでいう「援助が必要な方(要援助者)」とは、3つのサポートすべてを必要とする方を指します。たとえば、安否確認や見守りが必要なひとり暮らしの高齢の方などが想定されています。3つのサポートを受けるかどうかは、身近に頼れる方がいるかどうかなどをふまえて判断されます。

「認定を受けた住宅に入れば、必ず3つのサポートが付いてくる」というわけではありません。サポートを受ける立場になるかどうかは、その方の状況によって変わります。契約の前に、自分がどちらの扱いになるのかを確認しておくと安心です。

住まいの側に求められる基準

住宅そのものにも基準が設けられています。国が示している主な内容は次のとおりです。

  • 広さ:新築であれば25平方メートル以上、すでにある住宅であれば18平方メートル以上など
  • 構造:耐震性があること(確保する見込みがある場合を含む)
  • 設備:台所・便所・浴室などが設けられていること
  • 家賃:近くにある似た条件の住宅と比べて不釣り合いでないこと

広さや設備の基準は、自治体が計画で定めることによって強めたり緩めたりできることになっています。ここも地域差が出るところです。

なお、家賃が住宅扶助の上限に収まるかどうかは、居住サポート住宅かどうかとは別の話です。上限額はお住まいの地域と世帯人数で決まりますので、住宅扶助いくらまで?東京53,700円・横浜52,000円 | 関東1都6県一覧【2026年度版】で目安を確認しておくと、部屋を探すときの判断がしやすくなります。


利用したいときの相談先

居住サポート住宅に関心をもったとき、どこに聞けばよいのかを整理しておきます。

知りたいこと相談先
自分の住む地域に居住サポート住宅があるか市区町村の住宅担当課
自分が入居の対象になるか市区町村の住宅担当課
住宅扶助の代理納付の手続き担当のケースワーカー(福祉事務所)
入居にあたっての生活面の相談担当のケースワーカー(福祉事務所)

生活保護を受けている方が代理納付を希望する場合は、まず担当のケースワーカーに相談したうえで、代理納付を希望する旨の通知書を福祉事務所へ提出する流れになります。書式は決まったものがありますので、窓口で確認してください。

ケースワーカーにどこまで相談してよいのか迷われる方もいらっしゃいます。相談してよい場面については【2026年最新】ケースワーカーとは?年4回の家庭訪問・相談OKな7場面と付き合い方にまとめていますので、参考にしてください。

市区町村によって、担当している課の名前や受付の窓口が違います。「居住サポート住宅について聞きたい」と伝えれば、担当部署に取り次いでもらえます。


現時点で知っておきたい4つの注意点

ここまで制度の良い面を中心に説明してきましたが、実際に住まいを探すという場面では、あわせて知っておいたほうがよいことがあります。4点にまとめます。

① 認定された住宅の数はまだ多くない

制度が始まったのは2025年10月です。まだ日が浅く、認定を受けた住宅の数は全国的に見て十分とはいえません。自治体によっては、制度開始の時点で市内に1件も登録がない、という状況も見られました。

国は、制度の施行から10年間で10万戸の供給を目標として掲げています。裏を返せば、10年かけて増やしていく段階にある、ということです。「制度ができたのだから、探せばすぐ見つかるはず」と考えて待っていると、住まいが決まらないまま時間が過ぎてしまう可能性があります。

② 地域によって進み具合がかなり違う

認定を行う主体が市区町村や都道府県に分かれていることもあり、取り組みの進み具合には地域差があります。隣の市では動いているのに自分の市ではこれから、ということも起こり得ます。制度の全国的な説明をそのまま自分の地域に当てはめないほうが安全です。

③ 認定された住宅でも入居審査はある

見落とされやすい点ですが、居住サポート住宅として認定されている物件であっても、空室があるかどうかや入居審査があることは、通常の賃貸借契約と変わりません。

「認定住宅だから必ず入居できる」というものではないのです。

審査で見られる点や準備しておきたいことは、生活保護の賃貸審査 | 落ちる5つの理由と通過率を上げる7つのコツ【2026年版】で解説しています。

④ 一般の賃貸住宅も並行して探すのが現実的

以上をふまえると、住まいを急いで決める必要がある方ほど、居住サポート住宅だけに絞らず、一般の賃貸住宅も同時に見ておくことをおすすめします。

代理納付は居住サポート住宅でなくても利用できますし、保証人がいなくても契約できる物件はあります。生活保護を受けていることを理解したうえで部屋を紹介してくれる不動産会社もあります。制度の充実を待つ選択肢と、いま動かせる選択肢の両方を持っておくほうが、結果的に早く落ち着けることが多いはずです。

一般の賃貸で部屋を探す場合の進め方は、生活保護受給者の賃貸物件探し完全ガイド | 物件探しから入居までの流れ【2026年版】にまとめています。高齢の方が住まいを選ぶ際の選択肢を広く見比べたい場合は、生活保護の高齢者の住まい選び | 部屋探しと選べる住宅の種類もあわせてご覧ください。


よくある質問

Q
生活保護を受けていても居住サポート住宅に入居できますか
A

入居できます。対象となる「住宅確保要配慮者」には収入が一定額を超えない方が含まれており、生活保護を受けている方もこれにあたります。むしろ住宅扶助の代理納付が原則とされているなど、生活保護を受けている方を想定した取り扱いが制度の中に組み込まれています。

Q
居住サポート住宅は生活保護受給者が優先的に入居できますか
A

優先的に入居できるという定めはありません。ただし、住宅扶助の代理納付が原則とされていること、家賃債務保証を認定を受けた業者が引き受けることから、大家さんの側の不安が小さくなり、結果として話が進みやすい環境は整えられています。空室の有無や入居審査は通常の賃貸と同じです。

Q
家賃が住宅扶助の上限を超えていても入居できますか
A

居住サポート住宅であるかどうかと、住宅扶助の上限額は別の制度です。上限を超える家賃の住宅に入居する場合の取り扱いは通常の賃貸と同じですので、契約を進める前に必ず担当のケースワーカーへ相談してください。

Q
見守りを受けるのに費用はかかりますか
A

費用の扱いは住宅や事業者によって異なります。契約の前に、サポートにかかる費用があるのか、あるとすればいくらなのかを必ず書面で確認してください。生活保護を受けている場合、その費用がどう扱われるかについても、あわせてケースワーカーに相談しておくと安心です。

Q
代理納付になると家賃の管理が自分でできなくなりますか
A

代理納付は、住宅扶助として支給される家賃分が福祉事務所から大家さんへ直接支払われる仕組みです。生活費として支給される部分の使い道が制限されるものではありません。家賃の支払い忘れがなくなる分、生活費の管理はむしろ楽になったという声もあります。

Q
セーフティネット住宅と居住サポート住宅は両方申し込めますか
A

別々の制度ですので、どちらか一方しか選べないということはありません。両方の性格をあわせ持つ住宅もあります。住まいを探す段階では、制度の名前で絞り込むより、条件に合う部屋を幅広く見ていくほうが現実的です。

Q
住んでいる地域に居住サポート住宅がない場合はどうすればよいですか
A

制度はこれから広がっていく段階ですので、現時点で近くに見つからないことは珍しくありません。住まいを決める時期が迫っている場合は、一般の賃貸住宅も並行して探すことをおすすめします。代理納付も保証会社を使った契約も、居住サポート住宅でなくても利用できます。


まとめ

居住サポート住宅は、2025年10月に始まった、入居後の見守りがついた賃貸住宅の認定制度です。生活保護を受けている方にとっては、住宅扶助の代理納付が原則とされること、家賃債務保証を認定を受けた業者が引き受けること、そして入居後に安否確認と見守りがあることの3点が、これまでとの主な違いになります。

知っておきたいこと内容
何が変わったか入居後の見守り・代理納付の原則化・認定を受けた業者による家賃保証
誰が使えるか生活保護を受けている方、高齢の方、障害のある方など
どこに相談するか市区町村の住宅担当課、担当のケースワーカー
注意すべき点認定された住宅はまだ少なく、地域差もある

関心をもたれた方は、まずお住まいの市区町村の住宅担当課に問い合わせてみてください。生活保護を受けている場合は、担当のケースワーカーにも一言相談しておくと話が早く進みます。

そのうえで、住まいを決める時期が近い方は、一般の賃貸住宅も並行して見ておくことをおすすめします。制度が整うのを待つあいだにも、いま契約できる部屋はあります。どちらの道も開いたままにしておくことが、いちばん確実な進め方です。

この記事の内容は2026年8月時点の情報にもとづいています。制度の詳細や最新の状況は、お住まいの自治体の公式サイトや窓口でご確認ください。


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