足立区で生活保護を受けた場合、毎月いくら支給されるのか。この記事では、厚生労働省の告示にもとづく基準額と足立区が公開している資料をもとに、世帯ごとの金額を実額で計算して示します。
足立区は東京23区のなかで生活保護の受給率がもっとも高い区です。区の統計によると、令和6年4月時点の被保護人員は23,438人、保護率は3.36%で、23区の平均(2.02%)を大きく上回っています。それだけ制度が身近に使われている地域だといえます。
まず結論として、家賃が上限額いっぱいの物件に住んだ場合の受給額の目安は次のとおりです。
| 世帯 | 生活扶助 | 住宅扶助 | 合計(月額) |
|---|---|---|---|
| 単身・30代 | 76,420円 | 53,700円 | 130,120円 |
| 単身・70代前半 | 75,750円 | 53,700円 | 129,450円 |
| 母子3人(母30代・小学生・未就学児) | 196,860円 | 69,800円 | 266,660円 |
| 3人世帯(30代夫婦・小学生) | 154,810円 | 69,800円 | 224,610円 |
金額の内訳と計算過程は、この記事の後半で1円単位まで示します。
足立区の生活保護で支給される8つの扶助
生活保護は「生活費」という1本の給付ではなく、用途ごとに分かれた8つの扶助で構成されています。足立区の案内でも同じ8種類が示されています。
| 扶助の種類 | 何に対して支給されるか | 支給の形 |
|---|---|---|
| 生活扶助 | 食費・衣料費・光熱水費など日常の生活費 | 現金 |
| 住宅扶助 | 家賃、更新料、引越しの敷金・礼金など | 現金 |
| 教育扶助 | 義務教育に必要な学用品費・教材費・給食費など | 現金 |
| 医療扶助 | 診察・薬・入院などの費用 | 現物(医療券) |
| 介護扶助 | 要支援・要介護認定を受けた場合の介護サービス費 | 現物(介護券) |
| 出産扶助 | 分娩にかかる費用 | 現金 |
| 生業扶助 | 就労に必要な技能習得の費用、高校の就学費 | 現金 |
| 葬祭扶助 | 火葬料など葬儀にかかる費用 | 現金 |
毎月決まって振り込まれるのは、おもに生活扶助と住宅扶助です。医療費と介護費は現金ではなく、医療券・介護券を使って窓口負担なしで受けられる仕組みになっています。足立区では医療機関にかかる前に福祉課へ申請して医療券の発行を受ける運用です。
このうち、受給額の大きさを決めるのが生活扶助と住宅扶助の2つです。以下ではこの2つを中心に見ていきます。
足立区の住宅扶助の上限額(世帯人数別)
住宅扶助は家賃に対して支給される扶助です。上限額は住んでいる地域の区分によって決まっており、足立区を含む東京23区はすべて同じ「1級地」の額が適用されます。
| 世帯人数 | 住宅扶助の上限額(月額) |
|---|---|
| 単身 | 53,700円 |
| 2人 | 64,000円 |
| 3〜5人 | 69,800円 |
| 6人 | 75,000円 |
| 7人以上 | 83,800円 |
単身世帯については、部屋の広さによって上限が下がる決まりがあります。
| 専有面積 | 単身世帯の上限額 |
|---|---|
| 15㎡超 | 53,700円 |
| 11〜15㎡ | 48,000円 |
| 7〜10㎡ | 43,000円 |
| 6㎡以下 | 38,000円 |
住宅扶助は家賃そのものに対して支給されるもので、共益費・管理費は対象外です。上限額いっぱいの物件を選ぶと、共益費のぶんは生活扶助から持ち出すことになります。物件を探すときは「家賃+共益費」の総額ではなく、家賃だけが上限内に収まっているかを見てください。
足立区で実際に支給されている住宅扶助の平均額
上限額は53,700円ですが、全員がその額を受け取っているわけではありません。足立区の決算資料によると、令和5年度の住宅扶助の支出額は約87億1,747万円、延べ件数は208,110件でした。ここから1件あたりを計算すると41,889円になります。
つまり足立区では、上限額より1万円以上低い家賃の物件に住んでいる世帯が多いということです。足立区は23区のなかでも家賃水準が低い地域で、上限額の範囲内で選べる物件の幅が比較的広いことが背景にあると考えられます。
足立区の生活扶助モデルケース4パターン
生活扶助は次の式で計算されます。
生活扶助 =(世帯員ごとの第1類の合計 × 世帯人数に応じた逓減率)+ 世帯人数に応じた第2類 + 経過的加算 + 特例加算(1人あたり1,500円)
第1類は年齢ごとに決まる個人単位の生活費、第2類は世帯単位でかかる光熱水費などです。第1類は地域区分によって金額が変わりますが、第2類は全国どこでも同額で、世帯人数だけで決まります。
足立区に適用される第1類(1級地-1)の金額は次のとおりです。
| 年齢 | 第1類(月額) |
|---|---|
| 0〜2歳 | 44,580円 |
| 3〜5歳 | 44,580円 |
| 6〜11歳 | 46,460円 |
| 12〜17歳 | 49,270円 |
| 18〜64歳 | 46,930円 |
| 65〜74歳 | 46,460円 |
| 75歳以上 | 39,890円 |
金額がもっとも高いのは12〜17歳の区分で、成人よりも高く設定されています。「大人のほうが高い」という感覚で計算すると誤ります。また65歳と70歳では同額ですが、75歳になると6,570円下がります。
以下の4パターンは、いずれも家賃が上限額いっぱいの物件に住み、他に収入がない場合の金額です。
モデル1:単身世帯(35歳)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 第1類(18〜64歳)× 逓減率1.00 | 46,930円 |
| 第2類(1人) | 27,790円 |
| 経過的加算 | 200円 |
| 特例加算(1人分) | 1,500円 |
| 生活扶助 合計 | 76,420円 |
| 住宅扶助(上限) | 53,700円 |
| 月額の合計 | 130,120円 |
モデル2:単身の高齢者世帯(72歳)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 第1類(65〜74歳)× 逓減率1.00 | 46,460円 |
| 第2類(1人) | 27,790円 |
| 経過的加算 | 0円 |
| 特例加算(1人分) | 1,500円 |
| 生活扶助 合計 | 75,750円 |
| 住宅扶助(上限) | 53,700円 |
| 月額の合計 | 129,450円 |
30代の単身世帯より670円低くなります。第1類が年齢区分で下がるためです。なお高齢者の場合は介護保険料の実費が別途加算されることが多く、要介護認定を受けていれば介護扶助も利用できます。
モデル3:母子世帯3人(母35歳・小学生9歳・未就学児4歳)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 第1類の合計(46,930+46,460+44,580) | 137,970円 |
| 逓減率0.75を掛けた額 | 103,477円 |
| 第2類(3人) | 44,730円 |
| 経過的加算 | 170円 |
| 特例加算(3人分) | 4,500円 |
| 小計(端数処理後) | 152,880円 |
| 母子加算(児童2人) | 23,600円 |
| 児童養育加算(10,190円×2人) | 20,380円 |
| 生活扶助 合計 | 196,860円 |
| 住宅扶助(3〜5人の上限) | 69,800円 |
| 月額の合計 | 266,660円 |
このほか、小学生の教育扶助として月3,400円が支給されます(学級費・給食費・教材費などは別途実費)。
モデル4:3人世帯(夫35歳・妻33歳・小学生9歳)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 第1類の合計(46,930+46,930+46,460) | 140,320円 |
| 逓減率0.75を掛けた額 | 105,240円 |
| 第2類(3人) | 44,730円 |
| 経過的加算 | 340円 |
| 特例加算(3人分) | 4,500円 |
| 生活扶助 合計 | 154,810円 |
| 住宅扶助(3〜5人の上限) | 69,800円 |
| 月額の合計 | 224,610円 |
同じ3人世帯でも、母子世帯のモデル3より4万円あまり高くなっています。これは母子加算と児童養育加算が加わるかどうかの差です。
上の計算式が正しいことは、厚生労働省が公表している世帯類型別の基準額と照合して確認しています。同じ計算式で「30代夫婦と3〜5歳の子ども1人」の1級地-1の生活扶助を計算すると153,400円となり、厚生労働省の公表値と1円まで一致します。
実際の支給額は、収入があればその分が差し引かれます。年金や就労収入がある場合は、上の金額から収入を引いた差額が支給される仕組みです。
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足立区の生活保護費はいつ支給されるのか
足立区が受給者向けに配布している「生活保護のしおり」には、原則として毎月5日頃までに支給すると書かれています。具体的な日付は年度ごとの「生活保護費支払日予定表」で決まっており、担当の福祉課から案内されます。
インターネット上には足立区の支給日を「毎月1日」「毎月3日」と書いている情報がありますが、区の公式資料の記載は「毎月5日頃までに支給」です。月によって日付が動くため、正確な日付は必ず支払日予定表か担当のケースワーカーに確認してください。
受け取り方については次の点が決まっています。
足立区で受けられる8つの加算制度
世帯の状況に応じて、生活扶助に上乗せされるのが加算です。足立区に適用される1級地の金額は次のとおりです。
| 加算の種類 | 対象 | 月額(1級地) |
|---|---|---|
| 母子加算 | ひとり親世帯・児童1人 | 18,800円 |
| 母子加算 | ひとり親世帯・児童2人 | 23,600円 |
| 母子加算 | 児童3人目以降・1人につき | 2,900円 |
| 障害者加算 | 身体障害者手帳1・2級に該当する方など | 27,460円 |
| 障害者加算 | 身体障害者手帳3級に該当する方など | 18,300円 |
| 児童養育加算 | 児童1人につき(全国一律) | 10,190円 |
このほか、介護保険料加算・妊産婦加算・在宅患者加算・放射線障害者加算・介護施設入所者加算があります。これらは対象となる方の状況によって金額が変わるため、担当のケースワーカーに確認してください。
障害者加算と母子加算は、同じ方が両方の要件に当てはまる場合に限り、いずれか高いほうの額が算定されます(同額のときはどちらか一方)。世帯のなかの別々の方がそれぞれ該当する場合は、両方とも算定されます。ひとり親ご本人に障害がある場合が前者、お子さんに障害がある場合が後者にあたります。ご自身のケースがどちらにあたるかは、福祉事務所にご確認ください。
母子加算でいう「児童」は、18歳になった日以後の最初の3月31日までの方を指します。高校生年代までが対象になると考えてください。
特例加算は令和8年10月から2,500円に引き上げ
物価上昇への対応として、生活扶助には世帯員1人あたりの特例加算が上乗せされています。この金額が引き上げられます。
| 時期 | 世帯員1人あたりの特例加算 |
|---|---|
| 令和7年10月〜令和8年9月 | 1,500円 |
| 令和8年10月〜 | 2,500円 |
厚生労働省の社会保障審議会に提出された資料で、令和8年10月から1年間、特例加算を1,000円引き上げて1人あたり月額2,500円とすることが示されています。3人世帯であれば月7,500円が上乗せされる計算です。
ただし次の2点に注意が必要です。
自分の世帯がどちらに当たるかは計算だけでは判断できません。10月以降の金額については担当のケースワーカーに確認してください。
冬季加算(11月から3月)
暖房費の増加に対応するため、11月から翌年3月までの5か月間は冬季加算が上乗せされます。足立区に適用される金額は次のとおりです。
| 世帯人数 | 冬季加算(月額) |
|---|---|
| 1人 | 2,630円 |
| 2人 | 3,730円 |
| 3人 | 4,240円 |
| 4人 | 4,580円 |
単身世帯であれば5か月間の合計で13,150円になります。北海道など寒冷地は10月から4月までの7か月間、単身で月12,780円と大きく異なりますが、東京は全国でもっとも低い区分です。
最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付
平成25年から3年間かけて行われた生活扶助基準の引き下げについて、令和7年6月27日に最高裁判所が違法との判断を示しました。物価下落を反映させた調整の判断過程に誤りや欠落があったとされたものです。
これを受けて厚生労働省は、当時の水準と新たな水準との差額を追加給付することを決めました。
対象になる方
追加給付の目安
追加給付の割合は期間によって異なり、平成25年8月からは0.8%、平成26年4月からは1.6%、平成27年4月からは2.4%が上乗せされます。厚生労働省が示している都市部(足立区と同じ1級地-1)の例は次のとおりです。
| 世帯の例 | 平成25年8月から令和8年3月まで継続して受給していた場合の合計 |
|---|---|
| 60歳代の単身世帯 | 約10万5,000円 |
| 30歳代夫婦と4歳の子ども1人 | 約20万4,000円 |
実際の金額は、当時の年齢・世帯人数・受給していた期間・加算の有無によって変わります。加算が算定されていた世帯は上の例より多くなります。
手続きと時期
現在も同じ自治体で受給を続けている場合は、原則として手続きは不要です。一方、現在受給していない方や、当時ほかの自治体で受給していた方は、当時の自治体への申出が必要です。この申出は令和8年夏頃から受付が始まる予定とされています。
追加給付として受け取ったお金は、収入として認定されません。現在生活保護を受けている方が受け取っても、そのぶん保護費が減らされることはありません。
追加給付の内容についての問い合わせは、厚生労働省が委託している「最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付相談センター」(フリーダイヤル 0120-179-445・平日9時から17時)で受け付けています。
数字でみる足立区の生活保護
足立区の生活保護は、区の財政のなかでも大きな位置を占めています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 被保護世帯数(令和6年4月) | 18,768世帯 |
| 被保護人員(令和6年4月) | 23,438人 |
| 保護率 | 3.36%(23区で最も高い) |
| 生活保護費の年間支出 | 約459億円 |
| 区民税収入に対する割合 | 約96% |
区が配布しているしおりでは、生活保護費が特別区民税の収入(約477億円)のほぼ全額に相当する規模であることが説明されています。
一方で、受給者数は3年連続で減少しています(令和4年3.46% → 令和5年3.41% → 令和6年3.36%)。世帯数でみても令和4年の18,913世帯から令和6年の18,768世帯へと減っています。
足立区の生活保護の相談窓口
足立区の生活保護の窓口は足立福祉事務所で、区内は6つの福祉課に分かれています。担当は住んでいる町丁目によって決まっており、どの課に行ってもよいわけではありません。
| 福祉課 | 所在地 | 電話 |
|---|---|---|
| 中部第一福祉課 | 中央本町四丁目5番2号 3階 | 03-3880-5875 |
| 中部第二福祉課 | 中央本町四丁目5番2号 2階 | 03-3880-5419 |
| 千住福祉課 | 千住仲町19番3 | 03-3888-3142 |
| 東部福祉課 | 東綾瀬一丁目26番2号 | 03-3605-7129 |
| 西部福祉課 | 鹿浜八丁目27番15号 | 03-3897-5013 |
| 北部福祉課 | 竹の塚二丁目25番17 | 03-5831-5797 |
受付時間はいずれも平日の午前8時30分から午後5時まで(祝日・年末年始を除く)です。どの課が担当かを含めた詳しい一覧は、足立区の福祉事務所の記事にまとめています。
よくある質問
- Q足立区の生活保護費はいつ振り込まれますか?
- A
足立区が配布している生活保護のしおりでは「原則として毎月5日頃までに支給する」と案内されています。月ごとの正確な日付は生活保護費支払日予定表で決まっているため、担当のケースワーカーに確認してください。契約更新料などの臨時の保護費は、毎月の保護費とは別の日程で支給されることがあります。
- Q足立区で単身の場合、毎月いくら受け取れますか?
- A
30代の単身世帯で家賃が上限額いっぱいの場合、生活扶助76,420円と住宅扶助53,700円をあわせて月額130,120円が目安です。70代前半の単身世帯では129,450円になります。ほかに収入がある場合は、その分が差し引かれます。
- Q家賃が住宅扶助の上限を超える物件には住めませんか?
- A
上限を超える家賃の物件に住むと、超えた分を生活費から支払うことになるため、生活が苦しくなります。福祉事務所から転居を指導される場合もあります。足立区では住宅扶助の1件あたりの支給実績が41,889円で、上限額を下回る家賃の物件に住んでいる世帯が多くなっています。
- Q障害者加算と母子加算は両方もらえますか?
- A
どなたが該当するかによります。世帯のなかの別々の方がそれぞれ該当する場合(お子さんに障害があり、親御さんがひとり親である場合など)は両方とも算定されます。同じ方が両方の要件に当てはまる場合(ひとり親ご本人に障害がある場合など)は、いずれか高いほうの額が算定されます。詳しくは福祉事務所にご確認ください。
- Q最高裁判決の追加給付はいつもらえますか?
- A
現在も同じ自治体で受給を続けている場合は手続きなしで支給されます。現在は受給していない方の申出は令和8年夏頃から受付が始まる予定です。支給の時期は自治体の準備状況によって異なるため、一律の日程は決まっていません。
- Q足立区の生活保護費は今後増えますか?
- A
令和8年10月から、世帯員1人あたりの特例加算が1,500円から2,500円へ引き上げられます。ただし入院中の方や介護施設に入所している方は1,000円のまま据え置きです。また従来の基準額を保障する措置が働いている世帯では、総額が変わらない場合があります。
まとめ
足立区で生活保護を受けた場合の受給額について、重要な点をまとめます。
- 住宅扶助の上限は単身53,700円、3〜5人世帯で69,800円。足立区の実際の支給実績は1件あたり41,889円
- 30代の単身世帯であれば、生活扶助と住宅扶助をあわせて月額130,120円が目安
- 生活保護費は原則として毎月5日頃までに支給される
- 令和8年10月から特例加算が1人あたり2,500円へ引き上げられる
- 最高裁判決を踏まえた追加給付は、現在受給していない世帯も対象。申出の受付は令和8年夏頃から
住まいの条件によって受け取れる金額は変わります。住宅扶助の範囲内で暮らせる物件が見つかるかどうかが、生活の安定に直結します。物件探しでお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
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