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病気で働けない時の生活保護 | 受給条件と診断書・医療費の扱い

病気で働けない時の生活保護受給条件と診断書・医療費の扱い 対象者・条件

病気やけがで働けなくなり、貯金が減っていくのを見ながら「自分は生活保護を受けられるのだろうか」と迷っている方は少なくありません。窓口で働くように言われるのではないか、診断書は必要なのか、医療費はどうなるのか。不安が重なって、相談そのものをためらってしまうこともあります。

この記事では、病気で働けない状態にある方が生活保護を受けられるかどうかがどう判断されるのかを、生活保護法と厚生労働省の実施要領に沿って整理します。あわせて、傷病手当金や障害年金を受けている場合の扱い、医療費の負担、申請の窓口で聞かれることまで解説します。

当サイトは、生活保護を受けている方の住まい探しを支援するパートナー企業の情報基盤として運営しており、実際の相談で多く寄せられるつまずきどころもふまえてまとめています。判断の目安を持てれば、窓口に行くかどうかを落ち着いて決められます。順に見ていきましょう。


病気で働けない場合、生活保護は受けられるのか

結論から言うと、病気で働けない状態にある方は生活保護の対象になり得ます。実際、働けない事情があることは、生活保護を利用する典型的なきっかけのひとつです。

ただし注意したいのは、「働けないこと」だけで受給が決まるわけではないという点です。生活保護は、収入・資産・利用できる制度をあわせて判断したうえで、それでも最低生活費に届かない場合に、その不足分を支給する制度だからです。

したがって、病気で働けない方の場合、判断は次の2段階で進みます。

段階見られる内容
第1段階働けない状態と認められるか(この記事の中心テーマ)
第2段階収入・資産・他の制度・親族の援助をあわせても最低生活費に届かないか

第2段階にあたる受給条件の全体像は、別の記事でまとめています。あわせてご確認ください。「働けるのに働いていない」と「働きたくても働けない」は、制度上まったく違う扱いになります。病気で働けない方は後者にあたり、そのことを窓口に正しく伝えることが出発点になります。

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「働けない」と判断されるしくみ

病気で働けないかどうかは、担当者の印象で決まるわけではありません。厚生労働省の実施要領は、次の3つの観点で判断するよう定めています。

観点内容
① 働く力があるか年齢や医学的な評価だけでなく、資格・生活歴・職歴も含めて評価する
② その力を活かす意思があるか働ける範囲で働こうとしているか
③ 実際に働く場を得られるか本人の環境のもとで、実際に就労の機会があるか

ここで見落とされがちなのが③です。働く意思があっても、体調の制約があるために実際に働ける仕事が見つからない場合、その状況までを含めて判断されます。「意思があるかどうか」だけで切り捨てられる仕組みではありません。

また、この判断は担当者ひとりが決めるものではなく、福祉事務所内で会議を開くなどして組織的に検討することとされています。

診断書と検診命令

働けない状態を確かめるため、福祉事務所は主治医の意見を求めることがあります。診断書の提出を依頼されるのも、この一環です。

さらに、生活保護法第28条第1項により、福祉事務所は指定する医師の検診を受けるよう命じることができます。これを検診命令といいます。命じる前には嘱託医の意見を聴くことになっており、いきなり出されるものではありません。

一方で、この検診命令に正当な理由なく従わない場合、同条第5項により申請が却下されたり、保護が停止・廃止されたりすることがあります。体調の都合で受けられない場合は、黙って行かないのではなく、その事情を担当者に伝えることが大切です。

病名がついていることと、働けない状態と認められることは同じではありません。逆に、病名がはっきりしなくても、働ける状態にないと医学的に説明できれば判断の材料になります。主治医に現在の就労可否を率直に相談しておくと、手続きが進めやすくなります。


傷病手当金や障害年金を受けていても申請できる

「他の給付を受けているから生活保護は無理だろう」と考えて、申請をあきらめてしまう方がいます。これは誤解です。

生活保護法第4条第2項により、他の法律による給付は生活保護に優先します。つまり、使える制度は先に使ったうえで、それでも最低生活費に足りない部分を生活保護が補うという順番になります。給付があること自体は、申請を妨げる理由になりません。

傷病手当金の基本

会社員などが業務外の病気やけがで働けなくなったとき、健康保険から受けられるのが傷病手当金です。要点は次のとおりです。

項目内容
支給期間支給開始日から通算して1年6か月まで(令和4年1月から通算方式)
支給の開始連続して3日休んだ後、4日目から
1日あたりの額直近12か月の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2

給与のおよそ3分の2にとどまるため、家賃や医療費が重なると最低生活費に届かないことがあります。その場合は、傷病手当金を収入として扱ったうえで、不足分が保護費として支給されます。

障害年金も同じ考え方です。年金を受けているから対象外になるのではなく、年金額を収入として計算に入れたうえで判断されます。


医療費の負担はどうなるのか

生活保護を受けると、医療費は医療扶助でまかなわれます。生活保護を受けている方は国民健康保険の対象から外れ、医療費は原則として自己負担なしで受診できる形になります。

受診の手順は通常の保険診療と少し異なります。事前に福祉事務所へ連絡し、医療券の交付を受けたうえで、生活保護法の指定を受けた医療機関にかかる流れが基本です。長く続く通院がある方は、この段取りを申請の相談時にあわせて確認しておくと安心です。

会社の健康保険に加入したまま生活保護を受けるケースもあります。この場合は健康保険から給付される分を差し引き、給付されない部分が医療扶助の対象になります。健康保険をやめる必要はありません。

医療扶助の範囲には、診察・薬・処置や手術・入院のほか、移送が含まれます。通院にかかる交通費が必要に応じて支給されるのは、この移送にあたります。遠方の専門医に通う必要がある方は、担当者に相談してみてください。

医療扶助のしくみは別の記事で詳しく解説しています。

医療扶助とは | 窓口負担なしで受診できる仕組みと使い方


病気の状態に応じて加わる加算

生活保護費は一律ではなく、事情に応じて加算が上乗せされます。病気や障害に関係するものを整理します。

障害者加算

一定の障害がある場合、障害者加算が加わります。令和8年4月時点の月額は次のとおりです。

対象1級地2級地3級地
障害等級表1・2級に該当する方など27,460円25,540円23,620円
障害等級表3級に該当する方など18,300円17,020円15,750円

ここで2点、間違えやすい点があります。

ひとつは地域区分です。加算額の地域区分は1級地・2級地・3級地の3つです。生活扶助の基準で使う「1級地-1」「1級地-2」といった6区分とは分け方が違い、たとえば「1級地-2」の市にお住まいなら、加算では1級地の額が適用されます。

もうひとつは対象になる時期です。障害者加算は、症状が固定している方のほか、固定していなくても、その傷病で初めて医師の診療を受けてから1年6か月を経過した方が対象になります。診断を受けた直後から自動的に付くものではありません。

障害者加算と母子加算は、同じ方が両方の要件に当てはまる場合に限り、いずれか高いほうの額が算定されます(同額のときはどちらか一方)。世帯のなかの別々の方がそれぞれ該当する場合は、両方とも算定されます。ひとり親ご本人に障害がある場合が前者、お子さんに障害がある場合が後者にあたります。ご自身のケースがどちらにあたるかは、福祉事務所にご確認ください。

障害がある場合の受給額の考え方は、別の記事でまとめています。

障害者の生活保護はいくら? | 加算額・対象条件・申請の流れを解説

在宅療養・入院に関する扱い

在宅で療養に専念していて栄養補給が必要な場合には在宅患者加算が、1か月以上入院している場合には入院患者日用品費が、それぞれ設けられています。

これらは対象になる条件が細かく、金額も改定されることがあります。ご自身が対象になるか、いくらになるかは、お住まいの地域の福祉事務所にご確認ください。


申請の流れと、聞かれること・用意するもの

申請の窓口は、お住まいの地域を管轄する福祉事務所です。役所の福祉担当窓口が入口になります。

福祉事務所の役割 | 生活保護の申請窓口・組織体制・相談内容を解説

病気で働けない方の場合、窓口では次のような点を確認されます。

確認されること準備しておくとよいもの
現在の傷病と治療の状況診察券・お薬手帳・診断書(あれば)
いつから働けなくなったか退職日や休職開始日がわかるもの
収入の状況給与明細・傷病手当金や年金の通知
預貯金や資産の状況通帳
家賃と住まいの状況賃貸借契約書

診断書がその場になくても、相談すること自体はできます。手元にないことを理由に申請をあきらめる必要はありません。

働くように言われるのではないかという不安について

生活保護を受けた後、福祉事務所が就労に向けた指導を行うことがあります。ただしこれは、働ける状態にあることが前提です。医学的に働ける状態にないと確認されている間は、その状態に応じた対応がとられます。

体調が変わったときや、指導の内容に納得できないときは、担当者に率直に伝えてください。伝えないまま応じられない状態が続くほうが、結果として不利になりやすいためです。

通院しやすい住まいに移りたい場合

通院に時間がかかる、階段の上り下りが体にこたえるといった事情から、住まいを変えたほうがよい場合があります。転居費用が支給されるかどうかは事情ごとに判断されるため、引越しを考え始めた段階で担当者に相談しておくと手続きが進めやすくなります。

生活保護で引越し費用は支給される?18ケース完全網羅【2026年最新】


よくある質問

Q
病名がつけば生活保護を受けられますか?
A

病名だけで決まるものではありません。働ける状態にあるか、収入や資産をあわせても最低生活費に足りないかを総合して判断されます。ただし、病気で働けない事情は判断の重要な材料になります。

Q
診断書がなくても申請できますか?
A

相談・申請そのものは可能です。手続きの過程で福祉事務所が主治医に意見を求めたり、診断書の提出を依頼したりすることがあります。

Q
傷病手当金を受けている間は申請できませんか?
A

申請できます。傷病手当金は収入として扱われ、最低生活費に足りない分が保護費として支給される形になります。

Q
生活保護を受けると健康保険はどうなりますか?
A

国民健康保険の対象からは外れ、医療費は医療扶助でまかなわれます。会社の健康保険に加入している場合は、そのまま加入を続け、給付されない部分が医療扶助の対象になります。

Q
通院の交通費は出ますか?
A

医療扶助には移送が含まれており、必要と認められる場合に支給されます。事前に担当者へ相談してください。

Q
検診命令には応じないといけませんか?
A

正当な理由なく応じない場合、申請の却下や保護の停止・廃止につながることがあります。体調などの事情で受けられないときは、その旨を担当者に伝えてください。

Q
障害年金をもらうと生活保護は打ち切られますか?
A

年金額を収入として計算に入れ、最低生活費に足りない分があれば保護は続きます。年金額が最低生活費を上回った場合には保護が終了することがあります。


まとめ

病気で働けない方にとって、生活保護は現実的な選択肢のひとつです。判断は「働く力があるか」「その力を活かす意思があるか」「実際に働く場を得られるか」の3つの観点で行われ、主治医の意見や診断書がその材料になります。

傷病手当金や障害年金を受けていても申請はできます。使える制度を先に使ったうえで、足りない分を補うのが生活保護の役割だからです。受給後は医療費が医療扶助でまかなわれ、通院の交通費も必要に応じて支給されます。障害の程度によっては加算も加わります。

体調がすぐれない中で手続きを進めるのは負担の大きいことですが、判断の枠組みを知っておけば、窓口で自分の状況を伝えやすくなります。住まいのことでお困りの場合は、あわせてご相談ください。


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