冬になると暖房代がかさんで、生活費が足りなくなる。生活保護を受けている方から、毎年この時期に多く寄せられる悩みです。その負担を補うために用意されているのが冬季加算です。
結論から書くと、冬季加算の額は住んでいる地域の地区区分と世帯人数で決まります。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県にお住まいなら、単身世帯で月2,630円。群馬県と栃木県は1段階寒い区分にあたるため、単身世帯で月4,630円です。
金額は厚生労働省の告示で定められており、同じ県のなかで級地(生活保護の地域区分)が違っても、冬季加算の額は変わりません。この記事では、6つの地区区分ごとの金額と支給期間、世帯人数が増えたときの額、そして条件を満たせば1.3倍まで認められる特別基準の仕組みまでを、告示と厚生労働省の通知に沿って説明します。
冬季加算とは | 冬のあいだ生活保護費に上乗せされるお金
冬季加算は、暖房費や光熱費が増える冬のあいだ、生活扶助に上乗せして支給されるお金です。生活保護法による保護の基準(昭和38年4月1日厚生省告示第158号)の別表第1で、「地区別冬季加算額」として定められています。
生活扶助は、食費や被服費にあたる「第1類」と、光熱水費や家具什器費にあたる「第2類」に分かれています。冬季加算は、このうち第2類に係る加算です。灯油代・電気代・ガス代が冬に増えることを見込んで上乗せされるもの、と考えると分かりやすいでしょう。
「加算」という名前でも、障害者加算や母子加算とは決まり方が違う
生活保護には障害者加算・母子加算・児童養育加算など、いくつもの加算があります。冬季加算はそれらとは決まり方が違います。
つまり冬季加算は、「世帯に誰がいるか」ではなく「どこに住んでいるか」で決まる加算です。
冬季加算はいくら?地区区分別の月額
次の表は、令和8年4月から適用されている告示の額です。自宅で生活している場合(居宅)の月額を示しています。
| 地区区分 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 |
|---|---|---|---|---|---|
| Ⅰ区(最も寒い区分) | 12,780円 | 18,140円 | 20,620円 | 22,270円 | 22,890円 |
| Ⅱ区 | 9,030円 | 12,820円 | 14,570円 | 15,740円 | 16,170円 |
| Ⅲ区 | 7,460円 | 10,590円 | 12,030円 | 13,000円 | 13,350円 |
| Ⅳ区 | 6,790円 | 9,630円 | 10,950円 | 11,820円 | 12,150円 |
| Ⅴ区(群馬県・栃木県など) | 4,630円 | 6,580円 | 7,470円 | 8,070円 | 8,300円 |
| Ⅵ区(関東1都3県・茨城県など) | 2,630円 | 3,730円 | 4,240円 | 4,580円 | 4,710円 |
6人以上の世帯にも額が定められています。
| 地区区分 | 6人 | 7人 | 8人 | 9人 | 10人以上は1人増すごとに |
|---|---|---|---|---|---|
| Ⅰ区 | 24,330円 | 25,360円 | 26,180円 | 27,010円 | 830円を加算 |
| Ⅱ区 | 17,180円 | 17,920円 | 18,500円 | 19,080円 | 580円を加算 |
| Ⅲ区 | 14,200円 | 14,800円 | 15,280円 | 15,760円 | 480円を加算 |
| Ⅳ区 | 12,920円 | 13,460円 | 13,900円 | 14,340円 | 440円を加算 |
| Ⅴ区 | 8,820円 | 9,200円 | 9,490円 | 9,790円 | 310円を加算 |
| Ⅵ区 | 5,010円 | 5,220円 | 5,380円 | 5,560円 | 180円を加算 |
冬のあいだの合計は、いくらになるか
冬季加算は毎月の保護費に上乗せされますが、支給される月数は地区区分によって違います。単身世帯の場合、冬のあいだに受け取る合計額は次のようになります。
| 地区区分 | 支給期間 | 単身世帯の月額 | 冬のあいだの合計 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ区 | 10月〜4月(7か月) | 12,780円 | 89,460円 |
| Ⅱ区 | 10月〜4月(7か月) | 9,030円 | 63,210円 |
| Ⅲ区 | 11月〜4月(6か月) | 7,460円 | 44,760円 |
| Ⅳ区 | 11月〜4月(6か月) | 6,790円 | 40,740円 |
| Ⅴ区 | 11月〜3月(5か月) | 4,630円 | 23,150円 |
| Ⅵ区 | 11月〜3月(5か月) | 2,630円 | 13,150円 |
合計額は、月額に支給月数をかけて当サイトが計算した目安です。月の途中で生活保護が始まった場合などは日割りで計算されることがあるため、実際の支給額はこの表より少なくなることがあります。
最も寒いⅠ区と最も暖かいⅥ区では、冬のあいだの合計で7万6,310円の差があります。暖房が必要な期間の長さと、必要な燃料の量の違いが、この差になって表れていると考えられます。
同じ県のなかなら、級地が違っても金額は同じ
上の表に、級地の欄がないことにお気づきでしょうか。告示の第2類の表は1級地-1から3級地-2まで6つの級地の列を持っていますが、冬季加算の額はその6列すべてで同じです。
住宅扶助の上限額は同じ県のなかでも市によって違い、生活扶助の第1類も級地によって変わります。そのため「冬季加算も級地で変わるはず」と考えてしまいがちですが、冬季加算は級地では変わりません。
自分の住む地域はどの区分か | 都道府県別の早見表
地区区分は都道府県ごとに定められています。支給される期間も区分によって違います。
| 地区区分 | 該当する都道府県 | 支給期間 | 単身世帯の月額 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ区 | 北海道・青森県・秋田県 | 10月〜4月 | 12,780円 |
| Ⅱ区 | 岩手県・山形県・新潟県 | 10月〜4月 | 9,030円 |
| Ⅲ区 | 宮城県・福島県・富山県・長野県 | 11月〜4月 | 7,460円 |
| Ⅳ区 | 石川県・福井県 | 11月〜4月 | 6,790円 |
| Ⅴ区 | 栃木県・群馬県・山梨県・岐阜県・鳥取県・島根県 | 11月〜3月 | 4,630円 |
| Ⅵ区 | 上記以外のすべての都府県(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県を含む) | 11月〜3月 | 2,630円 |
支給される期間は3通りあります。Ⅰ区とⅡ区は10月から4月までの7か月、Ⅲ区とⅣ区は11月から4月までの6か月、Ⅴ区とⅥ区は11月から3月までの5か月です。
北関東3県は、2つの区分に分かれる
とくに注意したいのが北関東です。群馬県と栃木県はⅤ区、茨城県はⅥ区で、同じ北関東でも区分が分かれています。
単身世帯で月2,000円、5か月では1万円の差になります。「北関東だから寒い地域の区分だろう」とまとめてしまうと、茨城県にお住まいの方は実際より高い額を見込んでしまうことになります。
冬季加算は、生活扶助への上乗せです。土台となる生活扶助そのものが月いくらになるかは、下のシミュレーターで確かめられます。このシミュレーターは冬季加算を計算に含めていませんので、表示された金額に、上の表の冬季加算を足してお考えください。
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冬季加算で間違えやすい3つのこと
①「寒冷地手当」は、生活保護とは別の制度
冬季加算を調べていると「寒冷地手当」という言葉に行き当たることがありますが、これはまったく別の制度です。寒冷地手当は、国家公務員の寒冷地手当に関する法律(昭和24年法律第200号)などに基づいて公務員に支給される手当で、根拠となる法律も、支給される相手も違います。
生活保護を受けている方が冬に受け取るのは、寒冷地手当ではなく冬季加算です。金額を調べるときは、冬季加算の表を見てください。
②条件を満たせば1.3倍まで認められることがある(特別基準)
通常の額では足りない事情があるときは、地区別冬季加算額の1.3倍の範囲内で額が決められる仕組みがあります。厚生労働省の局長通知(生活保護法による保護の実施要領について・昭和38年4月1日社発第246号)は、次のように定めています。
傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者又は乳児が世帯員にいる場合であって、保護の基準別表第1第1章の1の(1)に規定する地区別冬季加算額によりがたいときは、地区別冬季加算額に1.3を乗じて得た額の範囲内において特別基準の設定があったものとして必要な額を認定して差し支えない
条件を読み解くと、次のどちらかに当てはまることが前提になります。
そのうえで、通常の冬季加算では足りないと認められる場合に、1.3倍までの範囲で必要な額が決められます。Ⅵ区の単身世帯であれば、2,630円の1.3倍で3,419円が上限の目安になります。
認定を行うのは福祉事務所(実施機関)です。当てはまりそうな事情があるときは、担当のケースワーカーに相談してください。
③施設に入っている場合・入院中の場合は額が違う
この記事の表は、自宅で生活している場合(居宅)の額です。救護施設などに入っている場合、入院している場合、介護施設に入所している場合には、それぞれ別の額が定められています。
ご自身にどの額が適用されるかは、福祉事務所にご確認ください。
よくある質問
- Q冬季加算はいつからいつまで支給されますか?
- A
お住まいの地域の地区区分によって違います。Ⅰ区(北海道・青森県・秋田県)とⅡ区(岩手県・山形県・新潟県)は10月から4月まで、Ⅲ区(宮城県・福島県・富山県・長野県)とⅣ区(石川県・福井県)は11月から4月まで、Ⅴ区(栃木県・群馬県・山梨県・岐阜県・鳥取県・島根県)とⅥ区(それ以外の都府県)は11月から3月までです。
- Q冬季加算を受け取るために、自分で申請する必要はありますか?
- A
冬季加算は、お住まいの地域の地区区分と世帯人数で額が決まるもので、厚生労働省の告示によって最低生活費の一部として定められています。ただし、手続きが自治体ごとにどのように運用されているかまでは国の通知に書かれていません。冬の時期に入っても保護費に変化が見られないときは、担当のケースワーカーか福祉事務所にご確認ください。
- Q月の途中で生活保護が始まった場合、その月の冬季加算はどうなりますか?
- A
日割りで計算されることがあります。厚生労働省の局長通知は、月の途中で保護開始となった場合や保護廃止となった場合など、冬季加算を日割計算により認定する場合があることを前提に、特別基準についても同じく日割計算を行うよう定めています。実際の計算は福祉事務所が行います。
- Q同じ都道府県なら、どの市に住んでいても冬季加算は同じ額ですか?
- A
はい。冬季加算の地区区分は都道府県単位で定められているため、同じ都道府県のなかであれば市区町村が違っても額は同じです。住宅扶助の上限額は市によって異なりますが、冬季加算は異なりません。
- Q灯油代が足りません。冬季加算を増やしてもらうことはできますか?
- A
病気や障害の療養のために外出が著しく難しく常時在宅せざるを得ない人が世帯にいる場合、または乳児が世帯にいる場合で、通常の冬季加算では足りないと認められるときは、1.3倍の範囲内で額が決められる仕組みがあります(特別基準)。この条件に当てはまることが前提となりますので、該当しそうなときは福祉事務所にご相談ください。
- Q入院している間や、施設に入っている間も冬季加算は出ますか?
- A
自宅で生活している場合とは別の額が定められています。救護施設等ではⅤ区2,910円・Ⅵ区2,050円、入院患者日用品費や介護施設入所者基本生活費に係る分はⅤ区及びⅥ区で1,030円です(いずれも11月から3月まで)。ご自身にどの額が適用されるかは福祉事務所にご確認ください。
- Q冬季加算を、冬の初めにまとめて受け取ることはできますか?
- A
原則は1か月分ずつの支給です。ただし厚生労働省の課長通知は、灯油や薪などの冬に必要な物資について、その地域の事情からみて適切な時期にまとめて買っておかないと後から購入するのが著しく難しくなる場合には、必要やむを得ないと認められれば必要な額をまとめて先に渡して差し支えない、としています。該当しそうなときは福祉事務所にご相談ください。
まとめ
- 冬季加算は、冬のあいだ生活扶助に上乗せされるお金。地区区分と世帯人数で額が決まる
- 東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県はⅥ区で単身月2,630円。群馬県と栃木県はⅤ区で単身月4,630円。どちらも11月から3月まで
- 級地では変わらない。同じ都道府県なら市区町村が違っても同額
- 「寒冷地手当」は公務員向けの別の制度
- 常時在宅せざるを得ない方や乳児がいる世帯では、1.3倍まで認められることがある(特別基準)
冬の光熱費は、家賃と並んで生活を圧迫しやすい支出です。断熱性の低い住まいでは、冬季加算があっても暖房代が足りなくなることがあります。住まいそのものを見直すことで、毎年の冬の負担が軽くなることも少なくありません。
みまもり不動産では、生活保護を受けている方の住まい探しのご相談を承っています。今の住まいの光熱費に困っている方も、お気軽にご相談ください。
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