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生活保護の申請に同行できる人 | 代理申請との違いと頼み方

生活保護の申請に同行できる人 | 代理申請との違いと頼み方 申請・手続き

生活保護の申請に一人で行くのが不安、という方は少なくありません。窓口でうまく説明できるだろうか、専門用語がわからなかったらどうしよう、断られたら引き下がるしかないのだろうか。そうした不安から、申請そのものをためらってしまうこともあります。

結論から言えば、生活保護の申請に誰かに同行してもらうことはできます。法令上、同行者の資格を定めた規定はなく、家族・友人・支援団体の方・弁護士など、信頼できる相手であれば同席してもらえます。福祉事務所の側も、支援者の同席を前提とした対応をしています。

ただし、ここでひとつ注意しておきたい点があります。「同行」と「代理申請」はまったく別のものだ、ということです。同行は誰にでも頼めますが、本人に代わって申請できる人は法律で3者に限られています。この違いを知らないまま窓口に行くと、当日になって「その方は申請者になれません」と言われ、手続きが止まってしまうことがあります。

この記事では、同行を頼める人の類型ごとの向き不向き、同行者にできること・できないこと、そして実際に依頼するときの段取りを整理します。


生活保護の申請に同行者をつけることはできる

生活保護の申請や事前の相談に、支援者が同席することは認められています。生活保護法には同行者の資格や人数を制限する規定がなく、実務上も、家族・友人・民間の支援団体の方・弁護士などが同席するケースは珍しくありません。

同行者がいることの利点は、大きく3つあります。ひとつは、①緊張して言葉が出てこないときに補足してもらえること。生活状況を人に話すのは、それ自体が負担の大きい作業です。ふたつめは、②面談で言われた内容を記録に残せること。制度の説明は一度聞いただけでは覚えきれず、後で「あのとき何と言われたか」がわからなくなりがちです。3つめは、③心理的な支えになること。一人では引き返してしまう場面でも、同席者がいれば最後まで話せることがあります。

一方で、押さえておきたいことがあります。同行者がいても、申請の主体はあくまで本人だという点です。同行者は本人を支える立場であって、本人の代わりに「申請する/しない」を決める立場ではありません。この線引きが、次に説明する「代理申請」との違いにつながります。


「同行」と「代理申請」は別物

同行と代理申請は、しばしば混同されます。しかし制度上の扱いはまったく異なります。

同行には資格も法的な制限もない

同行は、本人に付き添って窓口へ行き、面談に同席することを指します。生活保護法には同行者の要件を定めた条文がなく、資格も届出も必要ありません。誰に頼むかは本人の自由です。

申請できるのは法律で定められた3者

これに対し、申請そのものを行える人は法律で限定されています。生活保護法第7条は、保護は要保護者本人、その扶養義務者、またはその他の同居の親族の申請にもとづいて開始する、と定めています。つまり申請書に申請者として名前を書けるのは、本人・扶養義務者・同居の親族の3者だけです。

友人や知人に付き添ってもらうことはできますが、その友人が本人に代わって申請者になることはできません。同じく、支援団体の方に同行してもらっても、申請の意思表示をするのは本人です。

なお、扶養義務者とは民法で扶養の義務を負うとされる親族を指し、直系血族と兄弟姉妹が該当します。同居していない親でも扶養義務者にあたるため、申請者になれる可能性があります。

この区別を取り違えると、窓口で足止めされることがあります。たとえば、本人が体調を崩して自宅で休んでいる間に、支援者だけが福祉事務所を訪れて申請書を提出しようとしても、その方が扶養義務者にも同居の親族にもあたらない場合、申請としては受け付けられません。本人の意思を確認する必要があるため、日を改めて本人と一緒に訪問し直すことになります。急いでいるときほど、この往復は大きな痛手になります。

弁護士は申請の代理業務を扱っている

例外的な位置づけにあるのが弁護士です。日本弁護士連合会は、弁護士が保護開始申請の代理業務を行っていることを公式に示しています。申請が却下された場合の審査請求や、窓口で不当な対応を受けた場合の交渉も、弁護士が代理人として行えます。

ただし、弁護士以外の第三者が委任状によって代理申請できるかどうかは、取扱いが明確に定まっていません。自治体によって判断が分かれる領域のため、弁護士以外の方に代理を頼むことを検討している場合は、事前に申請先の福祉事務所に確認してください


同行を頼める人の4つの類型と向き不向き

誰に頼むかによって、期待できることが変わります。まず全体像を整理します。

類型申請者になれるか向いている場面留意点
親族(扶養義務者・同居の親族)なれる本人が体調を崩している・書類の準備が難しい扶養照会の話題が出やすい
友人・知人なれない一人で行くのが不安・記録を残したい制度の知識は期待できない
民間の支援団体なれない申請後の生活の立て直しまで相談したい対応地域・支援範囲が団体ごとに異なる
弁護士代理業務として扱う過去に断られた・却下通知が届いた費用は法テラスの制度を確認

親族に頼む場合

親族は、唯一「同行」と「申請者になること」の両方が可能な立場です。本人が体調を崩している場合や、書類の準備が難しい場合には心強い選択肢になります。

一方で、扶養義務者にあたる親族に頼む場合は、扶養照会の話題が窓口で出やすくなる点は知っておいたほうがよいでしょう。扶養照会は同行の有無で決まるものではありませんが、申請の場で扶養の可否を尋ねられ、答えづらい思いをすることがあります。親族との関係に事情がある場合は、無理に頼まない選択も含めて考えてください。

友人・知人に頼む場合

もっとも気軽に頼める相手です。制度の知識は期待できませんが、同席して記録を取ってもらう、精神的に支えてもらうという役割であれば十分に果たせます。一人で行くのが不安、というだけの理由なら、この選択で足ります。

民間の支援団体に頼む場合

生活困窮者の支援を行う民間団体のなかには、福祉事務所への申請同行を活動として行っているところがあります。制度に詳しく、申請後の生活の立て直しまで継続して関わってくれる点が特徴です。

団体によって対応地域や支援の範囲が異なるため、まずはお住まいの自治体の自立相談支援機関や社会福祉協議会に相談し、地域で活動している団体を紹介してもらうのが確実です。

弁護士に頼む場合

過去に申請を断られた経験がある、窓口で申請書を渡してもらえなかった、却下の通知が届いたといった場合は、弁護士が適しています。法的な根拠にもとづいて是正を求められる点が、他の類型との決定的な違いです。

費用が心配な場合、経済的に余裕のない方を対象とした法テラスの民事法律扶助という仕組みがあります。弁護士会でも生活保護に関する相談窓口が設けられています。具体的な相談先の使い分けは、生活保護の相談窓口をまとめた記事で解説しています。


同行者にできること・できないこと

同行者の役割を、はっきり分けて整理します。

できることできないこと
面談に同席する本人に代わって申請の意思を決める
本人の説明を補足する申請権者でないのに申請者として署名する
面談で言われた内容を記録する福祉事務所の決定に代理人として不服を申し立てる(弁護士等を除く)
書類の記入を手伝う本人の資産や収入を代わりに申告して確定させる
本人が話せないときに代わりに伝える保護の要否そのものを判断する

境目にあるのが「代わりに発言する」ことです。本人が緊張して話せないとき、同行者が状況を説明することは実務上よく行われています。これは本人の意思を伝える手伝いであって、本人に代わって意思を決めることとは違います。同行者が話す場合も、最終的な申請の意思は本人が示すという形を保ってください。

面談の録音については、自治体によって対応が分かれます。記録を残したい場合は、当日その場で判断せず、事前に電話で可否を確認しておくと余計なやり取りを避けられます。


同行を依頼するときの段取り

当日になって困らないよう、順を追って準備します。

事前に福祉事務所へ電話で伝える

もっとも大切な準備がこれです。相談の予約を取る際に、同行者が同席することをあらかじめ伝えてください。伝える内容は、同行者の氏名、本人との関係、人数の3点で足ります。

事前に伝えておくと、面談室を確保してもらえる、担当者が同席を前提に説明してくれるなど、当日の進行が明らかにスムーズになります。逆に、何も伝えずに複数人で訪問すると、面談室の都合で待たされることがあります。

当日の持ち物と役割分担

持ち物は本人の申請に必要な書類が中心で、同行者が特別に用意するものはありません。必要書類は状況によって変わるため、申請に必要な書類をまとめた記事で確認してください。同行者には、筆記用具とメモを持ってきてもらうと記録に役立ちます。

役割は、本人が主体で話し、同行者は補足と記録に回るという形が基本です。同行者が最初から最後まで話してしまうと、福祉事務所側が本人の意思を確認できず、かえって手続きが長引くことがあります。

面談当日の流れ

受付で相談に来た旨を伝え、面談室で生活状況を聞かれます。収入や資産の状況、住まいのこと、家族のこと、健康状態などが中心です。ここで保護の要件や必要書類の説明を受け、申請の意思を示せば申請書を受け取れます。書類がすべて揃っていなくても、不足分は後日提出する形で申請を進められます。

面談は1時間前後かかることが多く、説明された内容をその場ですべて記憶するのは現実的ではありません。同行者には、担当者の氏名・言われた内容・次に何を提出すればよいかの3点をメモに残してもらってください。特に、申請の意思を伝えたのに申請書が出てこない場合は、日時と担当者名を記録しておくことが後の相談で効いてきます。

申請後は、生活状況を確認するための訪問調査が行われます。申請から決定までの流れの全体像は、生活保護の申請方法を解説した記事で確認してください。


同行を頼める相手が見つからないとき

身近に頼める人がいない場合でも、選択肢はあります。

生活困窮者自立支援制度にもとづく自立相談支援機関は、生活の困りごと全般の相談を受け付けており、生活保護の相談につなぐ役割も担っています。自治体が直営で運営している場合のほか、社会福祉協議会などに委託されている場合もあります。

社会福祉協議会は地域福祉の推進を目的とする団体で、身近な相談先として機能します。また民生委員は、生活保護法第22条により福祉事務所の事務の執行に協力する立場と定められており、地域の相談役として関わってもらえます。

申請を断られた経験がある、法的な後ろ盾がほしいという場合は、弁護士会の生活保護相談や法テラスが適しています。これらの窓口の詳しい使い分けと連絡方法は、生活保護の相談窓口を整理した記事にまとめています。

探すときの順序としては、①自治体の福祉の担当窓口に電話し、自立相談支援機関の連絡先を教えてもらう、②その機関に「生活保護の申請を考えているが一人で行くのが不安だ」と伝える、③地域で申請同行に対応している団体を紹介してもらう、という流れが現実的です。自治体の窓口が直接団体名を案内できない場合でも、自立相談支援機関を経由すれば地域の支援先につながります。

いずれの窓口も、まずは電話で「申請に同行してもらえる方を探している」と伝えるところから始められます。相談自体に費用はかかりません。


本人が窓口に行けないとき

体調や事情によって、本人が窓口へ行けないこともあります。

急迫した状況にある場合

生活保護法第7条のただし書は、要保護者が急迫した状況にあるときは、申請がなくても必要な保護を行うことができると定めています。さらに第25条は、急迫した状況にある場合、福祉事務所が職権で保護を開始しなければならないと定めています。命に関わる状況であれば、申請の手続きを待たずに保護が始まる仕組みがあるということです。

町村部にお住まいの場合

福祉事務所を設置していない町村にお住まいの場合、申請を町村長を経由して行うこともできます(生活保護法第24条第10項)。町村役場が申請を受け取り、必要な書面を添えて福祉事務所へ送付する仕組みです。遠方の福祉事務所まで出向かなくてよい点で、負担が軽くなります。

入院中・外出が難しい場合

入院している、障害や心身の不調で外出が難しいといった場合は、まず福祉事務所に電話で相談してください。訪問日時の調整や、職員による家庭訪問での対応が可能な場合があります。窓口の役割や相談の進め方は、福祉事務所の役割を解説した記事で詳しく扱っています。

なお、本人以外の方が代わりに申請書を提出できるかどうかは、扶養義務者・同居の親族にあたるかどうかで変わり、それ以外の方については自治体ごとに取扱いが異なります。自己判断で進めず、必ず申請先の福祉事務所に確認してください


よくある質問

Q
同行者に資格や届出は必要ですか
A

必要ありません。生活保護法に同行者の資格を定めた規定はなく、家族・友人・支援団体の方・弁護士など、本人が信頼できる相手であれば同席してもらえます。ただし、同行と代理申請は別のものであり、本人に代わって申請できるのは本人・扶養義務者・同居の親族に限られます。

Q
友人に同行してもらっても大丈夫ですか
A

問題ありません。友人や知人の同席は実務上よく行われています。ただし、友人が本人に代わって申請者になることはできません。申請の意思は本人が示す必要があります。事前に福祉事務所へ、同行者の氏名と本人との関係を電話で伝えておくと当日の進行がスムーズです。

Q
同行者が代わりに申請書を提出できますか
A

同行者が扶養義務者または同居の親族であれば、申請者として手続きできます。それ以外の方については取扱いが自治体によって異なるため、事前に申請先の福祉事務所へ確認してください。弁護士は保護開始申請の代理業務を扱っており、日本弁護士連合会も公式に示しています。

Q
同行者は何人まで連れて行けますか
A

人数を制限する法令上の規定はありません。ただし面談室の広さの都合があるため、2人以上で同行する場合は事前に電話で人数を伝えておいてください。伝えずに訪問すると、面談室の準備で待つことになる場合があります。

Q
面談を録音してもいいですか
A

自治体によって対応が分かれます。記録を残したい場合は、当日その場で申し出るのではなく、事前の電話で可否を確認しておくことをおすすめします。録音が難しい場合でも、同行者にメモを取ってもらう方法があります。

Q
同行を頼める人が誰もいない場合はどうすればいいですか
A

自立相談支援機関、社会福祉協議会、民生委員が地域の相談先になります。申請を断られた経験がある場合や法的な後ろ盾がほしい場合は、弁護士会の生活保護相談や法テラスが適しています。まずは電話で、申請に同行してもらえる方を探している旨を伝えてください。

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まとめ

生活保護の申請に同行者をつけることはできます。法令上、同行者の資格を定めた規定はなく、家族・友人・支援団体の方・弁護士など、信頼できる相手に付き添ってもらえます。

一方で、申請そのものを行えるのは、本人・扶養義務者・同居の親族の3者に限られます(生活保護法第7条)。同行と代理申請は別のものだという点だけは、窓口へ行く前に押さえておいてください。弁護士については、日本弁護士連合会が保護開始申請の代理業務を扱うことを示しています。

依頼するときは、事前の電話で同行者の氏名・関係・人数を伝えておくことが、当日をスムーズに進める最大のポイントです。面談では本人が主体で話し、同行者は補足と記録に回る形が基本になります。

頼める人が身近にいない場合も、自立相談支援機関・社会福祉協議会・民生委員・弁護士会・法テラスといった相談先があります。一人で抱え込まず、まずは電話で相談してみてください。

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