「葛飾区で生活保護を受けたら、実際にいくら受け取れるのか」。申請を考えるときに、最も知りたいのがこの点だと思います。
先に結論をお伝えします。葛飾区は級地区分で1級地-1にあたり、全国で最も高い水準の基準額が適用される地域です。世帯ごとの目安は次のとおりです。
| 世帯 | 生活扶助 | 住宅扶助(上限) | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 単身(30代) | 76,420円 | 53,700円 | 約130,120円 |
| 単身(70代前半) | 75,750円 | 53,700円 | 約129,450円 |
| 母子3人(母30代+小学生+未就学児) | 196,860円 | 69,800円 | 約266,660円 |
| 夫婦+小学生の3人 | 165,000円 | 69,800円 | 約234,800円 |
(令和8年4月時点の基準額で試算。住宅扶助は上限額であり、実際の家賃が上限を下回る場合は実費が支給されます。医療扶助・介護扶助は別途、現物給付されます)
この記事では、この金額の内訳を扶助と加算に分けて解説し、あわせて最高裁判決を踏まえた追加給付と保護費の支給日についてもお伝えします。
葛飾区の生活保護で支給される8つの扶助
生活保護は、ひとつのまとまったお金が渡される制度ではありません。目的別に8種類の扶助が用意されており、世帯の状況に応じて必要なものが組み合わされます。
| 扶助の種類 | 内容 | 支給の形 |
|---|---|---|
| 生活扶助 | 食費・被服費・光熱水費など日常生活の費用 | 現金 |
| 住宅扶助 | 家賃・地代、住宅の補修費 | 現金 |
| 教育扶助 | 義務教育に必要な学用品費・給食費など | 現金 |
| 医療扶助 | 診察・薬・入院などの医療費 | 現物給付(自己負担なし) |
| 介護扶助 | 介護サービスの利用料 | 現物給付 |
| 出産扶助 | 出産にかかる費用 | 現金 |
| 生業扶助 | 就労に必要な技能習得費、高校の就学費用 | 現金 |
| 葬祭扶助 | 葬儀にかかる費用 | 現金 |
このうち、毎月必ず関わってくるのが生活扶助と住宅扶助です。医療扶助と介護扶助は現金ではなく現物給付で、医療費が原則として自己負担なしになる仕組みです。
見落とされがちな扶助
教育扶助は、小学生・中学生がいる世帯に毎月支給されます。基準額は小学生3,400円・中学生5,300円で、これに学級費等(小学生1,170円以内・中学生1,250円以内)が加わり、給食費や教材費は実費で支給されます。
生業扶助には高等学校等就学費が含まれ、高校生の基本額は月7,300円です。入学準備金は118,200円以内が認められます。「生活保護だと高校に行けない」というのは誤解です。
また、毎年12月には期末一時扶助が支給されます。1級地-1では単身14,160円、2人世帯23,080円、3人世帯23,790円が目安です。年末の出費に充てられるものです。
葛飾区の住宅扶助上限額(世帯人数別)
葛飾区の住宅扶助の上限額は、東京23区の告示額が適用されます。
| 世帯人数 | 上限額(月額) |
|---|---|
| 1人 | 53,700円 |
| 2人 | 64,000円 |
| 3〜5人 | 69,800円 |
| 6人 | 75,000円 |
| 7人以上 | 83,800円 |
3人・4人・5人はいずれも同額の69,800円です。
上限を超える家賃の物件に住みたい場合
事情によっては、特別基準として通常より高い上限が認められる場合があります。
| 世帯人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 | 6人 | 7人以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 特別基準 | 69,800円 | 75,000円 | 81,000円 | 86,000円 | 91,000円 | 91,000円 | 97,000円 |
通常基準では3〜5人が同額なのに対し、特別基準は3人・4人・5人でそれぞれ額が異なります。ここは混同しやすい部分です。
特別基準が認められるのは、障害などで広い居室が必要な場合、高齢などで転居が困難な場合、通常基準の範囲内で物件が見つからない場合などに限られます。適用の可否は福祉事務所の判断になるため、自己判断で上限超の物件を契約しないようご注意ください。
床面積による減額
単身世帯で居室の床面積が15平方メートル以下の場合、上限額が下がります。
| 床面積 | 上限額 |
|---|---|
| 11〜15平方メートル | 48,000円 |
| 7〜10平方メートル | 43,000円 |
| 6平方メートル以下 | 38,000円 |
一般的なワンルームや1Kは16平方メートル以上あることがほとんどなので、通常の賃貸物件を探す場合はあまり気にする必要はありません。
葛飾区の住宅扶助についてさらに詳しくは、葛飾区の住宅扶助限度額(世帯人数別)で解説しています。
葛飾区の生活扶助モデルケース4パターン
生活扶助は、次の式で計算されます。
生活扶助 =(世帯員それぞれの第1類基準額の合計 × 世帯人数に応じた逓減率)+ 世帯人数に応じた第2類基準額 + 経過的加算 + 特例加算
第1類は年齢ごとの個人分、第2類は世帯共通の光熱費などにあたる部分です。逓減率を掛けるのは第1類の合計だけで、第2類には掛けません。
葛飾区(1級地-1)の代表的な4パターンを、令和8年4月時点の基準額で計算します。
モデル1:単身世帯(30代)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 第1類(20〜40歳)46,930円 × 逓減率1.00 | 46,930円 |
| 第2類(1人) | 27,790円 |
| 経過的加算 | 200円 |
| 特例加算 | 1,500円 |
| 生活扶助 合計 | 76,420円 |
| 住宅扶助(上限) | 53,700円 |
| 合計 | 130,120円 |
モデル2:単身の高齢者世帯(70代前半)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 第1類(70〜74歳)46,460円 × 逓減率1.00 | 46,460円 |
| 第2類(1人) | 27,790円 |
| 経過的加算 | 0円 |
| 特例加算 | 1,500円 |
| 生活扶助 合計 | 75,750円 |
| 住宅扶助(上限) | 53,700円 |
| 合計 | 129,450円 |
同じ単身でも、30代と70代前半では月670円ほど差が出ます。年齢区分は11段階に分かれており、「65歳以上」とひとくくりにはできません。たとえば70〜74歳と75歳以上では、第1類の額が6,570円も違います。
モデル3:母子世帯(母30代+小学生+未就学児の3人)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 第1類 合計(46,930+46,460+44,580=137,970円)× 逓減率0.75 | 103,477円 |
| 第2類(3人) | 44,730円 |
| 経過的加算 | 170円 |
| 特例加算(1,500円 × 3人) | 4,500円 |
| 生活扶助(本体) | 152,880円 |
| 母子加算(1級地・児童2人) | 23,600円 |
| 児童養育加算(10,190円 × 2人) | 20,380円 |
| 生活扶助 合計 | 196,860円 |
| 住宅扶助(3人・上限) | 69,800円 |
| 合計 | 266,660円 |
これに加えて、小学生には教育扶助が毎月支給されます。
モデル4:標準的な3人世帯(30代夫婦+小学生)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 第1類 合計(46,930+46,930+46,460=140,320円)× 逓減率0.75 | 105,240円 |
| 第2類(3人) | 44,730円 |
| 経過的加算 | 340円 |
| 特例加算(1,500円 × 3人) | 4,500円 |
| 生活扶助(本体) | 154,810円 |
| 児童養育加算 | 10,190円 |
| 生活扶助 合計 | 165,000円 |
| 住宅扶助(3人・上限) | 69,800円 |
| 合計 | 234,800円 |
同じ3人世帯でも、モデル3の母子世帯とは月3万円以上の差があります。母子加算と児童養育加算の有無によるものです。
収入がある場合の考え方
上の金額は、収入がまったくない場合の支給額です。働いて収入がある場合は、最低生活費との差額が支給されます。
たとえば単身30代で月8万円の収入があるなら、130,120円から8万円を引いた差額が支給される、というのが基本の考え方です。ただし働いて得た収入の一部は手元に残せる勤労控除があるため、実際の手取り総額は単純な差額よりも多くなります。働くほど損になる仕組みではありません。
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葛飾区で対象になる8つの加算制度
世帯の事情に応じて、生活扶助に上乗せされるのが加算です。8種類あります。
| 加算の種類 | 対象 |
|---|---|
| 母子加算 | ひとり親で児童を養育している世帯 |
| 児童養育加算 | 18歳到達年度末までの児童を養育している世帯 |
| 障害者加算 | 障害の程度が一定以上の方がいる世帯 |
| 妊産婦加算 | 妊娠中・産後間もない方がいる世帯 |
| 介護保険料加算 | 介護保険料を納付している方がいる世帯 |
| 在宅患者加算 | 在宅で療養に専念している方がいる世帯 |
| 放射線障害者加算 | 放射線による障害がある方がいる世帯 |
| 介護施設入所者加算 | 介護施設に入所している方がいる世帯 |
母子加算(1級地の金額)
| 児童の人数 | 月額 |
|---|---|
| 1人 | 18,800円 |
| 2人 | 23,600円 |
| 3人以上 | 23,600円+1人につき2,900円 |
障害者加算(1級地の金額)
| 障害の程度 | 月額 |
|---|---|
| 身体障害者障害程度等級表 1級・2級に該当する方など | 27,460円 |
| 同 3級に該当する方など | 18,300円 |
障害者加算は令和8年4月に改定されています。改定前の26,810円・17,870円という金額を掲載しているサイトがありますが、現在の額は上記のとおりです。
児童養育加算
児童1人につき月10,190円です。全国一律で、級地による差はありません。
加算の級地は「3区分」で決まります
ここは間違いが起きやすい重要な点です。
級地区分そのものは1級地-1から3級地-2までの6区分ですが、加算額を決めるときの区分は1級地・2級地・3級地の3区分です。葛飾区は1級地-1なので、加算は「1級地」の額を使います。
「1級地-2だから2級地の額」といった取り違えが実際に起きており、この誤りは受給額に直接影響します。
障害者加算と母子加算は「同じ方が両方に該当する場合」だけ調整されます
障害者加算と母子加算のどちらの要件にも同じ方が当てはまる場合は、いずれか高いほうの額が算定されます。世帯のなかの別々の方がそれぞれ該当する場合は、両方とも算定されます。「両方を単純に足した金額は受け取れない」という説明を見かけますが、それは同じ方が両方に該当する場合の話です。
特例加算は2026年10月に月2,500円へ
特例加算は、物価高騰への対応として世帯員1人あたりに上乗せされている加算です。段階的に増額されてきました。
| 時期 | 1人あたり月額 |
|---|---|
| 2023年度〜2025年9月 | 1,000円 |
| 2025年10月〜 | 1,500円 |
| 2026年10月〜 | 2,500円(予定) |
2026年10月からの2,500円への引き上げは、2026年度予算案で決定された方針です。正式な金額は告示によって確定しますので、実際の支給額は福祉事務所の通知でご確認ください。
3人世帯であれば、1人あたり1,000円の増額は世帯全体で月3,000円の増額になります。
なお、入院中の方や介護施設に入所している方の特例加算は、居宅の方と金額が異なります。
冬季加算(葛飾区はⅥ区)
11月から3月までの期間は、暖房費にあたる冬季加算が上乗せされます。
冬季加算は級地ではなく、Ⅰ区からⅥ区までの地区区分で決まります。東京都はⅥ区で、支給期間は11月から3月までの5か月間です。Ⅰ区の北海道などと比べると、支給期間も金額も抑えられた区分にあたります。
金額は世帯人数によって異なります。正確な額は担当のケースワーカーにご確認ください。
最高裁判決を踏まえた追加給付について
2025年6月27日の最高裁判決で、2013年(平成25年)に行われた生活扶助基準の引き下げが違法と判断されました。これを受けて国は、当時の受給者に対して差額分を追加給付する方針を決定しています。
対象になる方
現在は受給していない方も対象になります。
追加給付の割合
| 対象期間 | 追加給付率 |
|---|---|
| 2013年8月〜2014年3月 | +0.8% |
| 2014年4月〜2015年3月 | +1.6% |
| 2015年4月〜 | +2.4% |
金額は「本来支払われるべきだった額」と「実際に支払われた額」の差額です。受給していた期間の長さによって大きく変わるため、一律の金額は示されていません。
葛飾区の状況
葛飾区は、区内で生活保護を受給していた対象期間分の追加支給を実施すると公表しており、令和8年(2026年)7月末に決定通知を発送する予定としていました。
なお、他の自治体で受給していた期間分は、その自治体から支給されます。葛飾区に転入する前に別の市区町村で受給していた方は、当時の自治体にお問い合わせください。
現在の手続き状況や、申出が必要かどうかは、葛飾区の公式サイトまたは厚生労働省が設置している追加給付の相談センターでご確認ください。
葛飾区の保護費はいつ支給されるか
保護費の支給日は自治体ごとに定められています。多くの自治体では月初の1日から5日の間に設定されています。
ただし、葛飾区は支給日を公式サイトで公表していません。インターネット上には「毎月1日」「毎月3日」といった記載が複数見られますが、情報源によって内容が食い違っており、公式の裏づけが確認できません。
そのため当サイトでは、葛飾区の支給日について断定的な日付をお示ししません。正確な支給日は、保護決定時に交付される通知書、または担当の生活課でご確認ください。
一般的な運用として、支給日が土日祝日にあたる場合は前営業日に繰り上げられること、初回の支給は決定後に窓口で受け取り、2回目以降は口座振込になることが多い、という点は押さえておくとよいでしょう。
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よくある質問
- Q家賃が上限より安い場合、差額はもらえますか
- A
もらえません。住宅扶助は実際にかかった家賃が支給される仕組みで、上限額との差額が生活費に上乗せされることはありません。家賃4万円の物件に住んでいれば、支給される住宅扶助は4万円です。
- Q共益費や管理費も住宅扶助の対象ですか
- A
対象外です。共益費・管理費は生活扶助の中からやりくりして支払うことになります。物件を探すときは、家賃と共益費を分けて確認してください。
- Q収入があると受給できませんか
- A
収入があっても受給できます。最低生活費に届かない部分が支給されます。また勤労控除があるため、働いた分がそのまま差し引かれるわけではありません。
- Q金を受け取っていますが対象になりますか
- A
なります。年金は収入として扱われますが、年金額が最低生活費を下回っていれば、その差額が支給されます。葛飾区の単身高齢者の場合、最低生活費の目安は約129,450円です。
- Q障害者加算と母子加算は両方もらえますか
- A
どなたが該当するかによります。世帯のなかの別々の方がそれぞれ該当する場合(お子さんに障害があり、親御さんがひとり親である場合など)は両方とも算定されます。同じ方が両方の要件に当てはまる場合(ひとり親ご本人に障害がある場合など)は、いずれか高いほうの額が算定されます。詳しくは福祉事務所にご確認ください。
- Q追加給付を受けるのに手続きは必要ですか
- A
現在受給中の世帯は、原則として申出は不要です。すでに受給していない世帯は、当時の自治体への申出が必要になる場合があります。葛飾区で受給していた期間分は葛飾区へ、他の自治体で受給していた期間分はその自治体へお問い合わせください。
- Q6人以上の世帯の金額を知りたいのですが
- A
世帯人数が多い場合は計算が複雑になり、世帯員の年齢構成によって金額が大きく変わります。この記事の4パターンは代表的な例であり、実際の金額は福祉事務所での算定が必要です。おおよその目安を知りたい場合は、シミュレーターをご利用ください。
まとめ
葛飾区の生活保護受給金額のポイントを整理します。
- 葛飾区は1級地-1で、全国で最も高い水準の基準額が適用される
- 単身30代の目安は約130,120円(生活扶助76,420円+住宅扶助53,700円)
- 住宅扶助の上限は単身53,700円、3〜5人世帯は69,800円
- 加算の級地は3区分(1級地・2級地・3級地)。葛飾区は「1級地」の額を使う
- 障害者加算と母子加算の調整(同じ方が両方に該当する場合のみ高いほうを算定・別々の方なら両方とも算定)
- 特例加算は2026年10月から月2,500円へ引き上げられる予定
- 冬季加算はⅥ区、11月から3月まで
- 最高裁判決を踏まえた追加給付が実施中。過去に受給していた方も対象になる
- 葛飾区は支給日を公表していないため、決定通知書または生活課で確認する
金額の目安が分かったら、次は住まいの検討です。葛飾区で住宅扶助の範囲内の物件をお探しの方、入居審査に不安のある方は、お気軽にご相談ください。
申請の手続きについては葛飾区の生活保護申請方法で、窓口の詳細は葛飾区の福祉事務所一覧で解説しています。
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