板橋区で生活保護の申請を考えているとき、最初につまずくのが「どこに行けばいいのか」です。板橋区には福祉事務所が3か所あり、お住まいの町名によって担当が決まっています。区役所本庁舎に行っても、担当の福祉事務所を案内されることになります。
板橋区では令和6年度に1,672件の申請があり、1,582世帯が新たに保護を利用し始めました。月あたりおよそ139件の申請がある計算です。特別な人だけの制度ではありません。
板橋区の生活保護申請の流れ
板橋区が公表している手続きの流れは、次の6段階です。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1. 相談 | 福祉事務所で面接相談を受ける(面接相談のみ) |
| 2. 申請 | 保護の申請を行う |
| 3. 申請受理 | 福祉事務所が申請を受け付ける |
| 4. 調査 | ケースワーカーが家庭訪問等で生活状況を調査 |
| 5. 決定 | 保護の要否を決定 |
| 6. 通知 | 保護開始、または申請却下の通知 |
調査では、生活状況・収入・健康状態・生活歴などを聞き取るほか、金融機関や保険会社への調査も行われます。持ち家や車の有無も確認されます。
相談は面接相談のみである点にご注意ください。電話で事情を伝えただけでは申請にはなりません。まず福祉事務所に出向く、または出向けない事情がある場合はその旨を電話で伝えて相談してください。
まず確認:担当は板橋・赤塚・志村のどこか
板橋区の福祉事務所は3か所です。町名で担当が決まっており、選ぶことはできません。
町名から担当を調べる
| 担当 | 受持地区 |
|---|---|
| 板橋福祉課 | 板橋、加賀、大山東町、大山金井町、熊野町、中丸町、南町、稲荷台、仲宿、氷川町、大山町、大山西町、幸町、栄町、中板橋、仲町、弥生町、本町、大和町、双葉町、富士見町、大谷口上町、大谷口北町、大谷口、向原、小茂根、東山町 |
| 赤塚福祉課 | 常盤台、南常盤台、東新町、桜川、上板橋、中台、若木、西台、徳丸、四葉、大門、三園一丁目、赤塚、赤塚新町、成増 |
| 志村福祉課 | 清水町、蓮沼町、大原町、泉町、宮本町、小豆沢、志村、東坂下、坂下、蓮根、舟渡、高島平、新河岸、前野町、三園二丁目、相生町 |
三園だけは丁目で担当が分かれます。一丁目は赤塚福祉課、二丁目は志村福祉課です。同じ町名でも行き先が違うので、お住まいの丁目をご確認ください。
3つの福祉事務所の連絡先
| 福祉事務所 | 所在地 | 電話(総合相談係) | 交通 |
|---|---|---|---|
| 板橋福祉課 | 栄町36番1号 グリーンホール | 03-3579-2322 | 都営三田線「板橋区役所前」徒歩5分/東武東上線「大山」徒歩5分 |
| 赤塚福祉課 | 赤塚六丁目38番1号 赤塚庁舎 地下1階 | 03-3938-5126 | 東武東上線「下赤塚」徒歩15分/バス「赤塚庁舎」下車すぐ |
| 志村福祉課 | 蓮根二丁目28番1号 1階 | 03-3968-2331 | 都営三田線「西台」徒歩3分(約260メートル) |
受付時間は3か所とも平日8時30分から17時です(祝休日・年末年始12月29日〜1月3日を除く)。赤塚庁舎には駐車場があり、相談で来庁した場合は駐車券を窓口に提示すると無料になります。
電話番号にご注意ください。各福祉事務所には「管理係」という別の窓口があり、そちらは経理・管理事務の担当です。生活保護の相談は上の表の「総合相談係」にお電話ください。
各福祉事務所の詳しい体制や、訪問前に用意しておくとよいものは、板橋区の福祉事務所一覧で詳しくご説明しています。
申請できるのは誰か-書けないときの口頭申請
「本人が窓口に行って、自分で申請書を書かなければならない」と思われがちですが、板橋区の公式資料はそうではないと明記しています。
本人以外も申請できる
生活保護の申請ができるのは、次の方々です。
入院中などで本人が直接申請できないときは、病院の医療相談員などを通じて相談を受ける運用になっています。
申請書が書けなくても申請できる
これは板橋区の「生活保護のしおり」に明記されている取扱いです。窓口で「書けません」と伝えてください。
板橋区で生活保護を受けるための要件
板橋区が案内している要件は次のとおりです。
- 働ける方は能力に応じて働く(病気・障がい・高齢その他の事情がある場合は相談する)
- 年金・手当など、他の法律で受けられるものはすべて受ける
- 預貯金・生命保険・有価証券などは換金して活用する(学資保険など保有が認められる場合もある)
- 未利用の不動産は処分・換金して活用する
- 居住用の土地・家屋でも、余分な敷地・部屋は処分や貸付として活用する
- 生活費に換えられる高価な物(乗用車・二輪車・高価な貴金属など)は換金して活用する
すべてを完全に手放さなければ申請できない、という意味ではありません。学資保険のように保有が認められる場合があり、判断は個別に行われます。「これがあるから無理だろう」と自己判断せず、相談の場でお話しください。
世帯単位で判断される
生活保護は世帯を単位として適用されます。原則として家族のうち1人だけが受給することはできません。
板橋区の資料には、判断について重要な記載があります。同一の住居に住み、生計を一にしている人は同一世帯とみなす、そして住民登録より生活実態を優先して判断するという点です。住民票を移していなくても、実際に一緒に暮らして家計を共にしていれば同じ世帯として扱われます。
申請のときに用意しておくとよいもの
板橋区は必要書類の一覧を公表しておらず、相談の場で個別に案内される運用です。ただし調査の内容から、次のものがあると手続きが進みやすくなります。
揃っていないことを理由に相談を先延ばしにする必要はありません。そろえられない事情も含めて相談してください。
調査では何を聞かれるのか
申請後の調査は、多くの方が最も不安に感じる段階です。板橋区の資料から、実際に行われる内容を整理します。
ケースワーカーの家庭訪問
申請をすると、ケースワーカーが自宅を訪問します。聞き取りの対象は次のとおりです。
部屋を隅々まで調べられるようなものではなく、生活の実情を把握するための聞き取りが中心です。答えにくいことがあれば、その理由も含めて伝えて構いません。
金融機関・保険会社への調査
預貯金や保険については、金融機関や保険会社に対して直接照会が行われます。通帳を提出するだけでは終わらない点は、あらかじめ知っておいたほうが心の準備ができます。
申告を怠るとどうなるか
板橋区は、うその内容で申請することや、収入をごまかして申告すること、届け出を怠ることを禁じています。不正な手段で保護費を受けた場合は、費用の全部または一部の徴収に加えて加算金が徴収されることがあり、法律により罰せられることもあります。
とくに注意が必要なのが医療費です。生活保護を利用すると国民健康保険・後期高齢者医療の資格を失い、医療費は全額(10割)が医療扶助から支払われます。そのため返還が生じた場合、保護を利用していた間の医療費が10割分そのまま返還対象になり、返還額が想像以上に大きくなります。
扶養照会は必ず行われるのか
申請をためらう最大の理由が「家族に知られたくない」ではないでしょうか。
板橋区の扱いは次のとおりです。扶養義務の履行が期待できると判断される方に対しては、援助が可能かどうかを手紙等で照会します。ただし、
照会は「必ず全員に行われるもの」ではありません。扶養照会の仕組みについては生活保護の扶養照会とはで詳しくご説明しています。
申請から決定までの期間
生活保護を利用できるかどうかは、申請を受理してから原則14日以内に決定されます。特別な理由がある場合は30日以内まで延長されることがあります。
30日を過ぎても通知が来ない場合、それ自体を「却下された」とみなして、次の章でご説明する審査請求を行うことができます。連絡がないまま放置されている状態を、我慢して待ち続ける必要はありません。
保護が始まったらどうなるか
決定通知が届いて保護が始まると、生活は次のように変わります。申請前に見通しを持っておくと、判断がしやすくなります。
保護費の受け取り方
保護費は原則として毎月初めに、指定した金融機関の口座へ振り込まれます。特別な場合には福祉事務所の窓口で受け取ります。
健康保険証の扱い
国民健康保険証と後期高齢者医療保険証は使えなくなるため、発行元に返却します。マイナ保険証の資格情報も変わり、生活保護へ切り替える手続きが終わるまでは一時的に使えません。返却先は、公営国保なら区民事務所または区役所国保年金課、組合国保なら保険組合です。
勤務先の健康保険に入っている方はそのまま継続して利用します。この場合は保険証の写しをケースワーカーに提出してください。
病院にかかるときは事前にケースワーカーへ連絡し、福祉事務所が発行する医療券を病院に提出します。急病などでやむを得ず医療券なしで受診したときは、至急ケースワーカーに連絡してください。
届け出が必要になること
保護が始まると、次のような変化があったときに速やかな届け出が必要になります。
高校生のアルバイト収入も申告が必要です。ただし、高校卒業後の進学や自立のために貯めた分は、事前に相談することで収入とみなさない取扱いができる場合があります。知らずに申告しないまま貯めてしまうと返還の対象になりかねないので、先に相談してください。
板橋区で受けられる減免・免除と子育て支援
生活保護を利用すると、保護費の支給以外にもさまざまな負担が軽くなります。板橋区の資料に記載されている主なものを挙げます。
税・保険料・公共料金
| 内容 | 手続き先 |
|---|---|
| 都民税・特別区民税の減免申請 | 区役所課税課 |
| 国民年金保険料の免除 | 区役所国保年金課 |
| 上下水道の基本料金免除 | 各福祉課・水道局各営業所 |
| 粗大ごみ収集手数料の免除 | 清掃事務所 |
| 住民票・戸籍・税証明の発行手数料免除 | 区役所総合窓口・各区民事務所 |
| NHK放送受信料の免除 | 各福祉課・NHK |
| 保育所保育料(開始月は減免、翌月から無料) | 区役所保育サービス課 |
交通
都営住宅にお住まいの場合
入居保証金が免除されます。世帯全員が生活保護を利用し住宅扶助を受けている場合は共益費の免除申請ができ、明け渡し時の原状回復費用も事前に免除申請ができます。
子どもがいる世帯への支援
板橋区は子どもの学習支援に独自の取り組みを持っています。
このほか、小中学生全員への学童服代の支給、修学旅行支度金、小・中・高校の入学準備金があります。中学3年生には高校進学に向けた支援があり、受験勉強のための学習塾等の費用が支給できる場合もあります。高校等を卒業して大学等へ進学した場合や安定した職業に就職した場合には、新生活の立ち上げ費用として進学・就職準備給付金が給付される制度もあります。
働きたい方への支援
福祉事務所には就労支援の専門員が配置されています。無料職業紹介による求人・求職のマッチング、ハローワークと福祉事務所が連携した支援、「はたらく準備」から始める就労準備セミナーや職場体験など、状況に応じた段階が用意されています。外出が難しい状態にある方には訪問支援員が訪問します。
就職面接に必要なスーツ代や、求職活動に伴う参考書代・交通費が支給できる場合もあります。
申請が却下されたときの3段階の対処
第1段階:理由を確認する
却下の通知書には理由が書かれています。まず何が理由だったのかを確認してください。書類の不足や収入認定の行き違いであれば、事情を説明することで解決する場合があります。
第2段階:東京都知事へ審査請求
決定に納得できない場合、東京都知事に対して審査請求ができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 請求できる期間 | 処分があったことを知った日の翌日から3か月以内 |
| 請求先 | 東京都知事 |
| 提出方法 | 審査請求書を正副2通作成し、東京都総務局総務部法務課または福祉事務所に提出 |
| 都からの回答 | 審査請求から50日以内に裁決 |
「60日以内」と書かれた情報にご注意ください。60日は2016年3月以前の古い決まりです。法律の改正で3か月に延長されています。古い情報のまま「もう間に合わない」と諦めてしまわないようご注意ください。
50日以内に裁決がないときは、審査請求が退けられたものとみなして次の手続きに進むことができます。
第3段階:厚生労働大臣へ再審査請求
東京都知事の裁決にも納得できない場合、厚生労働大臣に再審査請求ができます。期限は裁決があったことを知った日の翌日から1か月以内、回答は70日以内です。
数字で見る板橋区の生活保護
板橋区が公表している令和6年度の実績です。
| 項目 | 令和6年度 |
|---|---|
| 被保護世帯数 | 14,266世帯 |
| 被保護人員 | 17,304人 |
| 保護率 | 29.3‰(およそ2.9パーセント) |
| 申請件数 | 1,672件 |
| 保護開始 | 1,582世帯・1,868人 |
| 保護廃止 | 1,812世帯・2,046人 |
| 60歳以上の被保護人員 | 9,937人(うち70歳以上7,178人) |
被保護人員は5年前の18,118人から17,304人へと減少しています。一方で60歳以上が約1万人を占めており、高齢のひとり暮らしの方が多いことが板橋区の特徴です。
また、令和6年度は保護廃止(1,812世帯)が保護開始(1,582世帯)を上回りました。生活保護は一度始めたら抜けられない制度ではなく、状況が変われば終わる制度であることが数字にも表れています。
板橋区の家賃の上限額
住まいの心配がある方のために、金額の目安にも触れておきます。板橋区は東京都の1級地にあたり、家賃の上限(住宅扶助)は次のとおりです。
| 世帯人数 | 上限額 |
|---|---|
| 単身 | 53,700円 |
| 2人 | 64,000円 |
| 3〜5人 | 69,800円 |
| 6人 | 75,000円 |
| 7人以上 | 83,800円 |
ひとつ注意点があります。板橋区の公式資料にも「単身の方は居住の床面積によっては、この基準以下の金額となります」と書かれているとおり、部屋が狭いと上限そのものが下がります。15平方メートル以下では53,700円ではなく、より低い額が適用されます。
世帯人数別の詳しい金額と床面積による違いは板橋区の生活保護 家賃上限(住宅扶助)で、実際の部屋の探し方は板橋区で生活保護受給者が賃貸を借りる方法でご説明しています。
板橋区で現在ご紹介できる物件は板橋区の生活保護対応物件からご覧いただけます。
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よくある質問
- Q板橋区のどの福祉事務所に行けばよいですか。
- A
お住まいの町名で決まります。板橋・赤塚・志村の3か所があり、本記事の振り分け表でご確認いただけます。三園は一丁目が赤塚福祉課、二丁目が志村福祉課と分かれています。
- Q電話だけで申請できますか。
- A
できません。板橋区の相談は面接相談のみです。ただし、体調などで来庁が難しい事情がある場合は、その旨を電話でご相談ください。
- Q申請書を自分で書けないのですが。
- A
口頭申請ができます。板橋区の公式資料に明記されている取扱いですので、窓口でその旨をお伝えください。入院中の場合は病院の医療相談員を通じて相談することもできます。
- Q家族に必ず連絡がいきますか。
- A
必ずではありません。援助が期待できると判断される方には手紙等で照会しますが、借金・暴力・虐待などの事情がある場合や援助が期待できない場合は、調査を行わないこともあります。事情を窓口でお話しください。
- Q申請してから何日で結果がわかりますか。
- A
原則14日以内です。特別な理由がある場合は30日まで延びることがあります。30日を過ぎても通知が来ない場合は、却下されたものとみなして東京都知事に審査請求ができます。
まとめ
板橋区で生活保護を申請するときの要点をまとめます。
- 窓口は板橋・赤塚・志村の3つの福祉事務所。町名で担当が決まり、三園のみ丁目で分かれる
- 電話相談だけでは申請にならない。面接相談が必要
- 本人以外(扶養義務者・同居の親族・成年後見人)も申請でき、書けない場合は口頭申請もできる
- 決定は原則14日以内、最長30日。30日過ぎて通知が来なければ審査請求ができる
- 却下に納得できないときは、3か月以内に東京都知事へ審査請求(「60日」は古い情報)
- 扶養照会は必ず行われるものではない。事情があれば窓口で伝える
板橋区では年間1,600件を超える申請があり、1,500世帯以上が新たに利用を始めています。ためらう必要のある制度ではありません。
住まいのことでお困りの場合は、当社にご相談ください。生活保護を利用しながら板橋区で賃貸を借りたい方のご相談を承っています。
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