世田谷区で生活保護を受けると、単身30代の場合は生活扶助が月額76,420円。住宅扶助の上限53,700円を合わせると、総支給額は月額130,120円が目安になります。世田谷区は東京23区の一区として、住宅扶助の上限額が全国でも最高水準に設定されています。ただし支給額は世帯人数・年齢・加算の該当状況で大きく変わるため、単身者と子育て世帯では倍以上の差が出ます。
この記事では4つのモデルケースで内訳を1円単位まで示します。数値はすべて令和8年(2026年)4月からの基準に基づいており、計算式も併記しているのでご自身の世帯に置き換えて確認できます。
世田谷区の生活保護費は何で構成されているのか
生活保護費は、必要に応じて8種類の扶助から構成されます。すべての世帯が全部を受けるわけではなく、世帯構成・年齢・健康状態・子どもの有無などで支給される項目が決まります。
| 扶助の種類 | 内容 |
|---|---|
| 生活扶助 | 食費・被服費・光熱水費など日常生活に必要な費用 |
| 住宅扶助 | 家賃・地代・契約更新料・敷金・家屋修繕費など |
| 教育扶助 | 教材費・給食費・学用品など義務教育の費用 |
| 医療扶助 | 病気やけがの治療のための医療費・通院交通費など |
| 介護扶助 | 家事援助や施設入所など介護保険サービスの費用 |
| 生業扶助 | 高等学校等の就学費用や就職に必要な資格取得費用など |
| 出産扶助 | 出産時に病院や助産施設などでかかる費用 |
| 葬祭扶助 | 葬儀にかかる費用 |
このうち毎月定額で支給される中心は「生活扶助」と「住宅扶助」です。医療扶助・介護扶助は現物給付(医療機関や介護事業者への直接支払い)なので、受給者本人の手元に現金が入るわけではありません。
生活扶助の計算式
生活扶助は次の式で決まります。世田谷区は1級地-1に区分され、第1類の基準額は全国で最も高い水準が適用されます。
ここで間違えやすいのが逓減率を掛ける対象です。逓減率は第1類の合計にだけ掛けます。第2類には掛けません。
第1類・第2類・逓減率の基準額
世田谷区(1級地-1)の第1類は年齢によって11区分に分かれます。
| 年齢 | 第1類(1級地-1) |
|---|---|
| 0〜2歳 / 3〜5歳 | 44,580円 |
| 6〜11歳 | 46,460円 |
| 12〜17歳 | 49,270円 |
| 18〜19歳 / 20〜40歳 / 41〜59歳 / 60〜64歳 | 46,930円 |
| 65〜69歳 / 70〜74歳 | 46,460円 |
| 75歳〜 | 39,890円 |
最も高いのは12〜17歳で、成人より高く設定されています。「大人のほうが高い」という感覚で計算すると誤ります。また60〜64歳と65〜69歳、70〜74歳と75歳以上は額が違うため、「65歳以上」でひとくくりにすると誤差が出ます。
| 世帯人数 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 逓減率 | 1.00 | 0.87 | 0.75 | 0.66 | 0.59 |
| 第2類 | 27,790円 | 38,060円 | 44,730円 | 48,900円 | 49,180円 |
第2類は級地によって変わりません。世帯人数だけで決まります。第1類が級地で変わり、第2類は変わらないという非対称が正しい構造です。
世田谷区の生活扶助【4つのモデルケース】
ここからは代表的な4つの世帯類型で、実際の月額を内訳つきで示します。すべて令和8年(2026年)4月からの基準額で計算しています。
モデル1: 単身世帯(30代)
家賃が住宅扶助の上限53,700円の物件に住む場合、総支給額は月額130,120円です。11月から3月までは冬季加算(単身2,630円)が上乗せされ、月額132,750円になります。
モデル2: 単身高齢者世帯(70代前半)
住宅扶助を上限まで使った場合の総支給額は月額129,450円です。30代の単身者と比べて670円低くなるのは、第1類の年齢区分が下がることと、経過的加算が付かないことによります。
65歳以上の方は介護保険料が発生するため、実費相当額の介護保険料加算が別途支給されます。要介護認定を受けている方は介護扶助(現物給付)も併用できます。
モデル3:母子世帯(母33歳+中学生+未就学児の3人)
ここに住宅扶助(3〜5人世帯の上限69,800円)が加わり、総支給額は月額268,795円となります。教育扶助(中学生5,300円)と医療扶助は別枠です。
モデル4:標準3人世帯(夫33歳+妻29歳+子4歳)
住宅扶助の上限69,800円を加えると、総支給額は月額233,390円です。同じ3人世帯でもモデル3と35,405円の差が出るのは、母子加算(23,600円)と児童養育加算1人分(10,190円)、それに子どもの年齢による第1類の差によるものです。
4モデルの比較
| 世帯類型 | 生活扶助+加算 | 住宅扶助上限 | 総支給額の目安 |
|---|---|---|---|
| 単身30代 | 76,420円 | 53,700円 | 130,120円 |
| 単身70代前半 | 75,750円 | 53,700円 | 129,450円 |
| 母子3人世帯 | 198,995円 | 69,800円 | 268,795円 |
| 標準3人世帯 | 163,590円 | 69,800円 | 233,390円 |
いずれも住宅扶助を上限まで使った場合の目安です。実際の家賃が上限より低ければ、その実額が支給されます。
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世田谷区の住宅扶助【単身53,700円・3〜5人世帯69,800円】
住宅扶助は実際の家賃に応じて支給され、上限額は世帯人数で決まります。東京23区は厚生労働大臣が個別に基準額を定めており、単身53,700円は川崎市と並ぶ全国最高水準です。
| 世帯人数 | 通常基準 | 特別基準 |
|---|---|---|
| 1人 | 53,700円 | 69,800円 |
| 2人 | 64,000円 | 75,000円 |
| 3〜5人 | 69,800円 | 3人 81,000円 / 4人 86,000円 / 5人 91,000円 |
| 6人 | 75,000円 | 91,000円 |
| 7人以上 | 83,800円 | 97,000円 |
3人から5人までは通常基準が同額(69,800円)である一方、特別基準は人数ごとに分かれます。
床面積による減額
単身世帯で専有面積が狭い物件の場合、上限額が段階的に減額されます。
| 専有面積 | 単身の上限額 |
|---|---|
| 15㎡を超える | 53,700円 |
| 11〜15㎡ | 48,000円 |
| 7〜10㎡ | 43,000円 |
| 6㎡以下 | 38,000円 |
一般的なワンルーム・1Kは15㎡を超えることが多いため、多くの場合は53,700円が適用されます。減額が問題になるのは主に簡易宿泊所など狭小物件です。
特別基準額が使える条件
次のような事情がある場合、福祉事務所の判断で特別基準額(単身69,800円)まで引き上げが認められることがあります。
申請すれば必ず認められるものではありません。物件を契約する前に、お住まいの地域を管轄する総合支所の生活支援課へご相談ください。
エリア別の家賃相場と物件の探し方は世田谷区で生活保護の賃貸物件を探す方法で解説しています。
世田谷区で受けられる加算制度
生活扶助の本体に加えて、条件を満たす世帯には各種の加算が上乗せされます。世田谷区に適用される額は次のとおりです。
なお加算額の級地区分は3つ(1級地 / 2級地 / 3級地)で、第1類の6区分とは粒度が異なります。世田谷区は「1級地-1」なので、加算額は1級地の額が適用されます。
| 加算の種類 | 対象 | 月額 |
|---|---|---|
| 母子加算(児童1人) | ひとり親世帯 | 18,800円 |
| 母子加算(児童2人) | ひとり親世帯 | 23,600円 |
| 母子加算(児童3人以上) | ひとり親世帯 | 1人増えるごとに +2,900円 |
| 児童養育加算 | 児童1人につき(全国一律) | 10,190円 |
| 障害者加算(1・2級) | 身体障害者手帳1・2級等 | 27,460円 |
| 障害者加算(3級) | 身体障害者手帳3級等 | 18,300円 |
| 在宅患者加算 | 在宅で療養に専念する方 | 13,590円 |
| 妊産婦加算(妊婦・6か月未満) | 妊娠6か月未満 | 9,350円 |
| 妊産婦加算(妊婦・6か月以上) | 妊娠6か月以上 | 14,120円 |
| 妊産婦加算(産婦) | 出産後 | 8,690円 |
| 介護施設入所者加算 | 介護保険施設の入所者 | 10,120円以内 |
| 放射線障害者加算(現症者) | 原爆認定患者等 | 49,120円 |
| 特例加算 | 全受給者(1人につき) | 1,500円 |
| 介護保険料加算 | 65歳以上の介護保険料納付者 | 実費相当 |
障害者加算と母子加算は、同じ方が両方の要件に当てはまる場合に限り、いずれか高いほうの額が算定されます(同額のときはどちらか一方)。世帯のなかの別々の方がそれぞれ該当する場合は、両方とも算定されます。ひとり親ご本人に障害がある場合が前者、お子さんに障害がある場合が後者にあたります。ご自身のケースがどちらにあたるかは、福祉事務所にご確認ください。
また、加算には本人が申告しないと適用されないものがあります。母子加算・児童養育加算は申請書の記載内容から判定されますが、障害者加算・在宅患者加算・妊産婦加算などは申告が必要です。該当しそうな加算は、自己判断で省略せず必ず相談してください。
経過的加算について
モデルケースに出てくる「経過的加算」は、基準の見直しで支給額が下がりすぎないように調整するための項目です。世帯人数と年齢の組み合わせごとに額が定められています。
多くの組み合わせでは0円です。「経過的加算が必ず付く」と考えると計算が合わなくなります。たとえば単身の70代前半は0円、単身30代は200円というように、隣り合う年齢区分でも額が変わります。
冬季加算(11月〜3月)
暖房費の補助として、11月から3月までの5か月間、生活扶助に冬季加算が上乗せされます。申請は不要で自動的に加算されます。
冬季加算の額は地区区分で決まり、東京都は最も低いⅥ区に分類されます。世田谷区(1級地-1)の額は次のとおりです。
| 世帯人数 | 月額 | 世帯人数 | 月額 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 2,630円 | 6人 | 5,010円 |
| 2人 | 3,730円 | 7人 | 5,220円 |
| 3人 | 4,240円 | 8人 | 5,380円 |
| 4人 | 4,580円 | 9人 | 5,560円 |
| 5人 | 4,710円 | 10人以上 | 1人増すごとに +180円 |
単身世帯の場合、5か月分の合計は年間13,150円です。豪雪地帯のⅠ区(北海道など)と比べると水準は大きく異なり、暖房費の地域差が反映された設計になっています。
保護費の支給日と受け取り方
世田谷区の保護費は、原則として毎月2日に、その月の分(当月分)を指定の口座に振り込みます。
払い過ぎになると返還が必要になる
保護費は月初に支給されるため、働いて収入が増えたり、1か月以上の入院などで最低生活費の基準が下がると、支給済みの保護費が払い過ぎになることがあります。その場合は払い過ぎた分を返還することになります。
収入があったときは、福祉事務所が定める期限までに必ず届け出てください。届け出は保護費を正しく決定するために欠かせない手続きです。
収入があるときの支給額の決まり方
ここまでのモデルケースは収入がまったくない場合の金額です。年金や給料などの収入がある場合、最低生活費から収入を差し引いた不足分が保護費として支給されます。
| 状況 | 支給される保護費 |
|---|---|
| まったく収入がないとき | 最低生活費の全額 |
| 年金や仕送りなどがあるとき | 最低生活費 − 収入額 |
| 働いて得た収入があるとき | 最低生活費 − 就労収入認定額(収入から控除額を差し引いた額) |
| 収入が最低生活費を上回るとき | 保護は停止または廃止 |
働いた場合は収入の全額が差し引かれるわけではありません。勤務先への交通費・勤労による各種控除・必要経費などが控除され、残った額(就労収入認定額)が差し引かれます。つまり働いたほうが手元に残る金額は増える設計です。
「働くと保護費が同額減るから意味がない」というのは誤解です。就労に不安がある方は、生活支援課の専門員に相談してください。
よくある質問
- Q世田谷区の受給額は他の23区と違いますか?
- A
同額です。東京23区はすべて1級地-1で、住宅扶助の個別告示額も同一のため、新宿区・渋谷区・港区などと支給額に差はありません。区によって有利・不利が生じることはありません。
- Q世田谷区の生活保護費の支給日はいつですか?
- A
原則として毎月2日に、その月の分が指定口座に振り込まれます。保護を新しく開始したときや特別な事情があるときは窓口での支払いとなり、指定の日時に印鑑(スタンプ印は不可)を持参します。
- Q母子加算は子どもが2人いる場合いくらですか?
- A
世田谷区は1級地なので、児童1人で月18,800円、児童2人で月23,600円、3人以上は1人増えるごとに月2,900円が加わります。これとは別に児童養育加算が児童1人につき10,190円支給されます。
- Q障害者加算と母子加算は両方もらえますか?
- A
どなたが該当するかによります。世帯のなかの別々の方がそれぞれ該当する場合(お子さんに障害があり、親御さんがひとり親である場合など)は両方とも算定されます。同じ方が両方の要件に当てはまる場合(ひとり親ご本人に障害がある場合など)は、いずれか高いほうの額が算定されます。詳しくは福祉事務所にご確認ください。
- Q特別基準額69,800円はどうすれば適用されますか?
- A
車椅子使用者など障害により広い居室が必要な方、常時介護が必要な方がいる世帯、高齢・病気で転居が困難な方、通常基準内の物件が見つからない事情がある方などが対象です。申請すれば必ず認められるものではありません。物件の契約前に総合支所の生活支援課へご相談ください。
- Q働くと保護費はその分まるごと減りますか?
- A
まるごと減るわけではありません。勤務先への交通費・勤労による各種控除・必要経費などが差し引かれた「就労収入認定額」が最低生活費から控除される仕組みです。そのため働いたほうが手元に残る金額は増えます。
- Q冬季加算はいつから支給されますか?
- A
東京都はⅥ区に該当し、毎年11月から3月までの5か月間に支給されます。単身世帯では月額2,630円が生活扶助に上乗せされます。申請手続きは不要で、自動的に加算されます。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 級地区分 | 1級地-1(東京23区・全国最高水準) |
| 住宅扶助(単身) | 53,700円(特別基準 69,800円) |
| 住宅扶助(3〜5人) | 69,800円 |
| 単身30代の総支給額 | 約130,120円(生活扶助76,420円 + 住宅扶助53,700円) |
| 単身70代前半の総支給額 | 約129,450円 |
| 母子3人世帯の総支給額 | 約268,795円(教育扶助別) |
| 標準3人世帯の総支給額 | 約233,390円 |
| 冬季加算 | Ⅵ区・11月〜3月・単身月2,630円 |
| 特例加算 | 1人につき月1,500円 |
| 支給日 | 原則毎月2日・当月分を口座振込 |
| 申請窓口 | 5総合支所(世田谷・北沢・玉川・砧・烏山)の生活支援課 |
世田谷区は東京23区の一区として、住宅扶助・生活扶助ともに全国最高水準の基準が適用されます。単身であれば月額約13万円、3人世帯であれば月額約23万円が標準的な水準です。
実際の受給額は世帯構成・年齢・障害の有無・健康状態で変わります。申請前に総合支所の生活支援課へ相談するか、シミュレーターでおおよその目安を確認することをおすすめします。
申請の流れや必要書類は世田谷区で生活保護を申請する方法で解説しています。住宅扶助の範囲内での住まい探しにお困りの方は、生活保護受給者の住まい探しに対応した不動産会社にご相談されることもご検討ください。
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最終更新日: 2026年7月29日
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